8月といえば、夏休み。夏休みといえば、恋に、冒険に、食べ歩きに、そして……おっぱい!?
8月の「このマンガがすごい!」ランキングオトコ編は、定番のSF・ファンタジー・アクションに加えて、日常生活のなかにある“ドキドキワクワク”をフィーチャーした作品がランクイン。もちろん男の子の大好きなちょっとエッチな作品もありますよ!
それではさっそく、男のロマンが詰まったマンガから、ユーモアあふれる日常マンガまで、夏休みのマンガライフを充実させる至極のラインナップをご覧ください。
(2015年6月1日~6月30日発売作品を集計)
第1位(190ポイント)
『あしたのジョーに憧れて』 川 三番地
『あしたのジョーに憧れて』
川 三番地 講談社
昭和50年代前半。漫画家を目指す田中少年は、子どもの頃から憧れていた一流漫画家・ちばてつやのもとでアシスタントとして修行に励む。
尊敬するちばの仕事に対する姿勢を見ながら新米の田中は、漫画家としての心がまえを学んでいく。
新米アシスタントの成長を描くとともに、彼の目を通して巨匠・ちばてつやの仕事術を伝えるルポマンガとして高い評価を受けました。
オススメボイス!
■ちばてつやの弟子でもある川三番地の、思い出語りでもあり、マンガへの情熱と楽しさ語りでもあり。熱い時代の物語(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■漫画家・川三番地の眼を通して語られる巨匠・ちばてつやのストーリー。『あしたのジョー』や『おれは鉄兵』はいかにして作られたのか? 特別な作画テクニックも詳細に語られてますし、ペンを持ったことがある人にとってもかなり参考になる気がします。「マガジンプラス」掲載時からチェックしてましたので、それだけにコミックスが出てくれてホント感無量です(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■漫画家マンガといえば、主人公が新人マンガ家としてデビューし活躍する様子を追った『まんが道』がありますが、本作は川三番地先生がちばてつや先生のアシスタント時代について描いた作品。アシから見たちば先生を客観的に、自らのアシ経験を主観的に、という今までありそうでなかったマンガ家マンガです。ちば先生がいかに真剣にマンガに取り組み、向き合っていたかを記録した歴史的快作!(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
■本作が画期的なのはちばプロのどこも真似のできない技術を描くことに全力を尽くしているところ。カッターの刃の折り方から自分だけの定規の作り方。机のモノの置き方。そういうところからはじまり、スクリーントーンの削り方、集中線の描き方などなど。それらを通して「いいものを作りたい」という職人の熱さが感じられる(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
■『ブラックジャック創作秘話』や『激マン!』など、近年収穫の多い「漫画家実録もの」ジャンル。今作もまた、デビューから20周年を迎えるころ、油の乗った人気作家として奮闘中の巨匠・ちばてつやの周囲を暖かく切り取っていて、じつにおもしろい。さらに、今作の特徴となっているのが、アナログなマンガ技法についての細やかな言及。デジタルが主流になりつつある今、こうした形でマンガの歴史が語り、残されることは、大切なことだと思う(後川永/オタク系よろずライター)
■通常、手塚治虫を中心にしてマンガ史は考えられがちだが、こと少年マンガにかぎっては、ちばてつやのほうが大きな影響を残しているのではないかと思うときがある。ちば自身、自伝的なマンガを描いてはいるが、これはアシスタントの側からちばのどこがどう偉いのかを記したものである。1巻の段階で重要なのは、アシスタントの仕事や生活を描いた作品として、非常に緻密であるということ。今日の漫画家マンガでは、アシスタントの存在が物語のワキにまわされてしまうことが少なくはないのに対し、あくまでもアシスタントを主人公に立てている点が異色だといえる(森田真功/ライター、ブログ「Lエルトセヴン7 第2ステージ」管理人)
■マンガの世界は、じつは伝統芸能に近いと再認識させられる。マンガのマエストロ・ちばてつやのこだわりや教えに痺れる。戦慄のおもしろさ(加山竜司/フリーライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第2位(176ポイント)
『A子さんの恋人』 近藤聡乃
『A子さんの恋人』
近藤聡乃 KADOKAWA
マイペースで地味な29歳のアラサー女性A子は、日本にA太郎を置き去りにして渡米。
ニューヨークで3年間をすごした後、今度はこちらにA君を置き去りに日本に帰ってきた。
アルファベットで記号化された彼・彼女たち。ちょっと変だけどどこにでもいる人間を象徴化して、あくまでもニュートラルかつ冷静に、的確な人間観察をやってのけています。
絵柄からセリフまで、リズミカルでセンスにあふれた作品で、何度も読み返したくなる中毒性があります。
オススメボイス!
■アルファベットで記号化された彼・彼女たちは、いずれもちょっと変だけどどこにでもいる、つまりは私やあなたやあの子やあの人だったりするわけで、そんな不完全でありふれた大人たちをありのままに愛をもって描き出す、力の抜けた筆致が秀逸。『るきさん』や『きょうの猫村さん』シリーズ同様、絵も台詞もキャラクタも、そこに漂うリズムやセンスも、誌面に描かれたすべてが独特でゆるいのに完璧で、何度も読み返したくなる中毒性がある(井口啓子/文化系ライター)
■文句なくおもしろい! 近藤聡乃先生は天才としか思えない。個人的には、学生時代はmixiの女王で、今はFaceBookの女王となったI子さんがツボです(八尾美映子/三省堂書店神保町本店コミック担当)
■主人公たちの名前、シンプルな画面、柔らかな描線が相まって与えるふわふわとした印象と、地に足のついた生活感がいい塩梅で混ざってる。ふと知り合いを思い浮かべてしまうような、「隣にいそうな」登場人物も魅力(漫画トロピーク/謎の社会人漫画サークル)
■NYと日本で優柔不断がゆえに二股関係に悩む女子。洒脱なセリフまわしにやられます(今村方哉/レコード会社勤務)
■簡にして要を得たタイトル。著者は高野文子先生の『るきさん』のような作品にしてみたかったそうだが、偶然にも『るきさん』の新装版が同じ6月に発売。合わせてぜひ(小田真琴/女子マンガ研究家)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!!
第3位(136ポイント)
『怒りのグルメ』 土山しげる
『怒りのグルメ』
土山しげる コアマガジン
腕組みラーメン屋、知ったかぶりグルメ芸能人、あいさつしない飲食店員、高すぎ有名スシ屋……。
「食をバカにする奴ら、食を冒涜する奴らは許さねえ!」とばかりに、みんながムカつく「食の悪人」を裁く!!
グルメマンガ全盛のこのご時世に、あえて一石を投じるドラスティックなマンガが登場。
“あるある”と言いながら、義憤にかられる読者が続出です(笑)。
オススメボイス!
■中年親父が「安かろう悪かろう」という世間の常識を打ち砕く! マズイものを食わされたらキレてもいいんだ! そして払った金を奪い返すんだ! そんな狂気と怒りに満ちた1冊。『マッド・マックス 怒りのデスロード』の公開日と同時期に発売されたことに何かしらの因縁を感じる(犬紳士/養蜂家)
■怒りのグルメ、ただひたすらにおっさんが気に食わない飲食チェーン店に勝手にキレてるだけで、すっごいくだらなくてそれがいい。くだらないマンガがスゴくないなんてだれが決めた。くだらなくてもスゴくていいじゃないか!(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
■コンセプトの突き抜け方とエンタメ力がすさまじい。雑誌掲載時のタイトル『噴飯男』(フンパンマン)のほうがなじみもあってよかったが、あらためて読んでみて「怒り」とは本来、理不尽なものであると気づかされた(大西祥平/マンガ評論家)
■自分がむかついた、嫌いな飲食店を叩く。ただそれだけ。はっきりいって無茶苦茶である。しかし、マンガの自由さ、楽しさというのはこういうものだ(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■主人公の中年サラリーマンが"大江戸パワー丼"を食べて「マズい!」と激怒、噴飯男(フンパンマン)に変身して経営陣を鳳凰幻魔拳で懲らしめる……という第1話からして度肝を抜かれる、怪作としかいいようがない一品(V林田/咲-Saki-ファン)