『霧島嵐児』第3巻
かざま鋭二 日本文芸社 \590+税
(2014年10月16日発売)
主人公・霧島嵐児は、熱くイキのいい若手極道。尊敬する兄貴を目の前で殺され、即刻報復すべく拳銃をぶっ放しながらのカーチェイスのさなかに事故に遭い……目覚めると江戸時代にタイムスリップ!?
しかもその地は、罪人が集められた流刑地だった。お偉い武士たちが、すねにキズ持つワケありの庶民たちをいいように虐げるのを、黙って見ていることができないのが嵐児の性分で……。江戸時代だろうがなんだろうが、仁義にのっとって暴れまくるのだ。
痛快なタイムスリップ活劇も本巻にて完結。しかし、わずか3巻の間にド派手な大立ちまわりは数知れず、埋蔵金探しもあればロマンスもあり。脇役にしても、猟奇趣味のド変態なお奉行様やら、巨根のしもべやら……すみずみまで異様に濃い(笑)。
全編通して命がけに次ぐ命がけ。スピード感あふれる本作の結末はどこへ? 嵐児を慕う罪人の娘・おきくとの関係は。そして、嵐児は生きて現代に戻ることができるのか。
最近ではあまり使われなくなった“劇画”の潮流を継ぐ、アクションとハードボイルド風味、お色気が詰まったエンターテインメントの真髄だ。
ヤクザ者でむこうみずだが、カラリと明るいまっすぐな目をした嵐児は抜群の魅力。また、どこかで出会いたいキャラクターである。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」