『霧島嵐児』第1巻
かざま鋭二 日本文芸社 \637
（2014年4月19日発売）

『親玉'S』や『風の大地』など、近年はゴルフ漫画のイメージが強かったかざま鋭二の新作は、なんとタイムスリップ極道活劇漫画！

尊敬する兄貴分を目の前で殺された主人公・霧島嵐児は、敵対する組へのお礼参りの最中に事故を起こして江戸時代へとタイムスリップしてしまう。辿り着いた先はなんと暴虐の悪代官に支配された流刑島……。

目まぐるしいあらすじからもわかるとおり、特筆すべきはそのストーリー展開の早さ。問題を打開するためには戦いを躊躇せず、敵対者を悩むことなく殺害する嵐児の豪快な性格（物語序盤、敵前で悩むシーンがあるのだが、なんと懊悩する片手間にチンピラ2人を射殺するというウルトラCを見せる！）も、テンポのよい物語の一助となっている。
これにより、無駄なストーリーの引き伸ばしなどのない、ドラマティックな活劇のつるべ撃ち状態が維持できている。また、かざまの繊細ながら迫力のある画風とアクション漫画というジャンルの相性も抜群だ。

刺激的な設定、テンポのよいストーリー、圧倒的な画力……。週刊連載マンガに求められる要素を凝縮した本作から、目が離せない！

＜文・一ノ瀬謹和＞
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。