『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』第1巻
矢立肇/富野由悠季(作)夏元雅人(画)今西隆志(監)サンライズ(協) KADOKAWA/角川書店 \560+税
宇宙世紀0083年の11月13日、旧ジオン軍所属の残存勢力「デラーズ・フリート」がスペースコロニーを北米大陸に落下させた。これをもってデラーズ・フリートによる「星の屑作戦」が完了し、連邦とジオンは一年戦争後わずか数年で新たな確執を持つに至った。
……と、これはもちろんOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のなかのできごと。
ガンダムシリーズの世界観に様々なアプローチをしてきた「月刊ガンダムエース」で夏元雅人が描く『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』は、“この日”の約1年前から物語が始まる。
第1巻ではジオン残党の集結からデラーズ・フリート結成、「星の屑作戦」の発動までが描かれ、第3巻ではデラーズ・フリートのエースパイロットであるアナベル・ガトーが、連邦の試作ガンダム2号機(なんと核兵器搭載! この世界でも国際法違反です)を奪取する。OVA本編ではガトーの好敵手となる連邦軍パイロットのコウ・ウラキの成長物語も並行して描かれ、戦争に生きる若者たちの青春ドラマとしても質が高い。
その後、デラーズ・フリートは壊滅することになるのだが、旧ジオンの脅威に乗じるかたちで、地球連邦軍内に「ティターンズ」が結成され、物語はテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』へと移行する。
アニメ作品で描かれた宇宙世紀のミッシングリンクをマンガで埋めるのも、『ガンダム』世界の楽しみ方なのだ。
<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。