『フォーカス＆コントラスト』
町村チェス 宝島社 \900+税
（2014年12月10日発売）

女の子は、砂糖とスパイスと素敵な何かでできてると『マザーグース』でも歌われてるように、キラキラしたブランニューなものがだ～い好き。

「ゾーンフォーカス」の主人公・ハルの写真学校に通う毎日は、きょうちゃんという不思議に居心地のよい年上の友人や、恋やバイトや課題で初夏の強い日差しが乱反射して、万華鏡みたいに最強にキラッキラしてる。
ま～でも、光が強いと影も濃いもので、のめりこむほどに、きょうちゃんとの関係性は歪んでいく。いい顔したい同士の我慢比べみたいになってお互い依存して自滅するより、恋を、そして日常を取るハルの健全さに安堵するのも事実だが、やっぱ若いって傲慢だなー。

でも、若さはだれしもが持ち、そしてだれしもが失うアビリティ。そこをみずみずしく切り取れる町村チェスの手腕はスゴい。
もう1編の中編「かぜきり団地」は、佐原ミズの『マイガール』や『夜さん』などに通じる。起こっていることはシビアだしお気楽にハッピーエンドではないけれど、平坦なようで優しい目線の、読みごたえのある話だ。

＜文・小山まゆ子＞
フリーランスの編集・ライター。美術出版社刊『マンガ背景技法　グリッドで背景を描こう』（常野啓：著/菅野博之：監修）の第2弾にまたライターで参加しております。現在鋭意製作中。