『ジョジョの奇妙な冒険』第5巻
荒木飛呂彦 集英社 390円
『ジョジョの奇妙な冒険』第1部「ファントムブラッド」は、実在の殺人鬼である「切り裂きジャック」が登場することもあって、劇中で事件の起きた具体的な年月日が記されていることがある。
屍生人(ゾンビ)となった切り裂きジャックと第1部の主人公であるジョナサン・ジョースターの対決を皮切りに、墓場から蘇った伝説の騎士、タルカスとブラフォードと戦い、あいだに怪人ドゥービーとかいう雑魚を挟みつつ、ディオとの死闘に勝利して石仮面を砕いたとされる夜(なんというヘヴィーな一晩なんだ!)が、1888年12月1日のこと。
そして、事件が少し落ち着いたであろう1889年2月2日にジョナサンとエリナが結婚したことが、「ロンドンプレス紙社交欄」の記事として劇中で紹介されている。
ということで、本日2月2日はジョジョとエリナの結婚記念日である。
2人が結婚したからこそジョースター家の血脈は続き、現在も物語は続いていると考えれば、2月2日は『ジョジョ』の世界において、非常に重要な日と言えるだろう。
なお、2人はその翌日にロンドンからアメリカへ向けて新婚旅行に出発するのだが、洋上にて首だけになったディオと最後の決戦の末、ジョナサンが短い生涯を閉じたのは2月7日のこと。運命的な再会を経て結ばれたにもかかわらず、たった5日間で結婚生活が終わってしまう劇的すぎる展開はいかにも『ジョジョ』らしい。
そのつかの間の平穏に、エリナは「ああ……今日という日が永遠に続きますように…」と心のなかでつぶやいているのだが、世代を超え、おそらく時空をも越えて、ジョジョとディオの因縁が続いていることを思えば、エリナが意図したのとはまったく違う意味ではあるが、この短い日々は永遠に続いているのかもしれない。
ちなみに、ときどき「ジョナサンは結婚してから、いつ子供を作ったんだよ?」と疑問に思っている人を見かけますが、前述のとおり、洋上で4日間過ごしてますので!
そりゃあ当時の客船でたいした娯楽もなければ……って、そんな詮索は美しくなさすぎます!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。