『永井豪 美少女マンガコレクション Go-Go Girls！1968-73』
永井豪＆ダイナミックプロ 復刊ドットコム \2800+税
（2014年12月17日発売）

『デビルマン』でおなじみの巨匠・永井豪の、美少女が活躍する初期作品のアーカイブ集。
『ハレンチ学園』『白雪姫』の初カラー再現と、幻の短編『社員はV』の初復刻を目玉に、『すきすきスキーちゃん』『女番長 ほういん大子』『ひどい巨塔』など、当時の流行を盛り込んだカワイコちゃんマンガ14編に加え、巻末には著者インタビューも収録されている。

好事家の間では、昭和の少年たちを萌えさせた「精通マンガ」として語られている、永井豪の美少女マンガ。
なかでも『ハレンチ学園』で描かれた「モーレツごっこ」（小川ローサの「オー！モーレツ!!」のテレビCMを模した、要はスカートめくり）は当時、小学生の間で大流行。PTAやマスコミに叩かれまくったというが、なるほど純情な美少女がパンティを剥がれて「いやーん」と恥じらう姿は、なんとも色っぽく、未知なる性への好奇心をかきたてずにはいられないものだ。
（監修者はそれを「無邪気なサディズムと無意識のマゾヒズム」と指摘）

『白雪姫』の「ああ～ん、ディズニーのアニメに出た時はこんな目にあわなかったのにー」というセリフには、おもわず失笑。いやあ、これは今の子どもたちにも絶対、読ませるべきでしょう。
ハードでマニアックなエロも簡単に目にすることができる時代だからこそ、このあっけらかんと無邪気なフリをした「お色気」は貴重。

リアルタイムで読んでいない世代も、エネルギッシュな高度成長期の空気と呼応した、アナーキーでナンセンスな才気ほとばしる傑作群にノックアウトされちゃってください！

＜文・井口啓子＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69