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『彼岸島 48日後…』第1巻 松本光司 【日刊マンガガイド】

2015/01/15


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『彼岸島 48日後…』第1巻
松本光司 講談社 \565+税
(2014年12月5日発売)


彼岸島での吸血鬼との戦いは人間軍の敗北に終わり、「こうして人類最後の47日間は終わりを告げた」と断言する最終回を迎えた前作『彼岸島 最後の47日間』
最強の吸血鬼・雅は吸血鬼ウィルスを持つ蚊を日本にばらまく計画をやりとげ、浅草の雷門を観光する余裕っぷりで、まさかのバッドエンド。

当たり前のハッピーエンドよりは、レジェンドに立ち会えてよかった……セピア色の記憶にしまわれようとしていたが、どっこい話の続きがあった。あれから半年後、人類が滅亡する気がしたけれど、じつは日本文明が崩壊して全土が廃虚と化しただけだったのだ。
前作では吸血鬼の施設も増え戦場も広がり、「彼岸島」というより「彼岸大陸」じゃないかと疑われた。そんな過去を振り返ると、舞台を“島”から日本列島に移したのは順当なスケールアップかもしれない。

わずかな人間が生き延びる地獄のなか、足を引きずりながら吸血鬼たちと戦う英雄。その男・宮本明が丸太を持っているのはいつもどおりだが、義手の片腕に仕込み刀はいったいどこで? と思ったら、吸血鬼の隊長に手伝ってもらって作ったらしい。
では、隊長はどこへ? 雅たちが出ていったあと、明と2人で過ごした楽しい日々。それを捨ててまで復讐心に駆られる明を止めようと「島を出るなら、ワシを斬って行け!」と、本当に斬られていました。

『彼岸島』シリーズにおける萌えキャラでヒロインともいえる隊長(※上半身だけで全裸のオッサンです)と、もう会えないなんて……。深刻な隊長ロスに打ちのめされたが、終わりなき「巨大な邪鬼や雅と丸太で戦う」日常を再び取り戻すために支払われた、対価だと思いたい。
あとは、缶詰しか食糧が残ってない日本で、いつ豚汁が再登場するかに注目だ。



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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