『WORKING!!』第13巻
高津カリノ スクウェア・エニックス \476+税
(2014年12月25日発売)
10年近く続いた、ファミレスラブコメディもついに終演。
最初のころは少人数のゆるゆるラブコメディだったのが、気がつけば把握するのが難しいほどの人数を巻き込んだ、一大群像劇になった。
とくに永遠に続くんじゃないかとすら思われた佐藤・八千代カップルと小鳥遊・伊波カップル問題は、きっちりケリがついて、めでたしめでたし。
その周辺をめぐる人々(小鳥遊一家や八千代の取り巻きなど)も、きっちり収まるところに収まった。うざかわキャラ山田家問題も、すぐいなくなるオーナー夫婦も円満解決。
ここまで大人数の人間の問題を、すべてきれいに風呂敷をたたんで終えつつ、ちゃんと会話劇で笑わせるテクニックには拍手せざるをえない。
もっとも最終巻で目立っていたのは、(一応)ヒロインで、いつもいじられる「ちっちゃくないよ!」でおなじみのマスコット的キャラクター、種島ぽぷら。
今まではどうしても恋愛問題や家族問題に焦点があたっていたため、部外者的に目立たない存在だった。しかしこの巻でフロアチーフとしてみなをまとめる立場になり、いつもいじめていた佐藤が「大きくなったな、人間的に」と認めるほどになった。
改めてこの、奇人変人だらけのハチャメチャコメディが成立していたのは、ブレずに成長し続けていた種島ぽぷらの存在あってこそだったと感じさせられる最終巻。
とはいえこれからアニメ3期も控えており、山田・相馬問題も終わっていない。
まだまだ楽しめそうな「WORKING!!」ワールド。とりあえず2組のカップルのイチャイチャっぷりを楽しむとしましょうかね。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」