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1月20日は玉の輿の日 『バングラデシュで玉の輿』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/01/20


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『バングラデシュで玉の輿』第1巻
黒川あづさ 中央公論新社 \590+税


ごく普通の女性が、裕福な男性と結婚することを“玉の輿”というのはご存じのとおり。「身分の高い人の乗り物」=「玉の輿」に乗ることができた女性を指して「玉の輿に乗る」と言ったことが由来である。
江戸時代にお玉という八百屋の娘が徳川家光(三代将軍)の側室になり、綱吉(五代将軍)を生んだから……というのは後づけの俗説だ。

てなわけで、本日は“玉の輿の日”である。
1905(明治38)年1月20日、祇園の芸妓・お雪がモルガン商会創始者の甥にあたるジョージ・モルガンと結婚。巨額の見請け金(現在の4000万円程度)が話題となり、お雪は「日本のシンデレラ」ともてはやされ、玉の輿の日が制定されるまでになった。
彼女の半生は越路吹雪主演でミュージカル「モルガンお雪」として上演されている。

いつの世も玉の輿に憧れる女性は多いものだが、意図せずに乗ってしまった稀有な例を紹介しよう。『女帝 由奈』などで知られる漫画家・黒川あづさだ。
『バングラデシュで玉の輿』によると、そもそも黒川の姉がバングラデシュ人と結婚しており、独身のまま婚期を逃しつつある妹にダンナの友人を紹介、それが後に夫となるクリリン(仮名)であった。

なんと18年も日本に不法滞在していたというクリリンだが、黒川と結婚したことで晴れて在留特別許可証をゲット。
これまで不法滞在だったために出国できなかったクリリンは、新妻を連れて里帰りをすることに……って、大丈夫かこのエッセイ!

もともとクリリンの出自について詳しいことを知らなかった黒川は、バングラデシュで驚愕の事実を次々と目の当たりにする。
バングラデシュ第3の都市・クルナに在住するクリリンの家族は、病院のごとき立派なビルで暮らしており、7~8人のメイドと5~6人の運転者を抱えていた。クリリンの父親は地元の名士で、自宅前の大通りには彼の名がついているほどである。

それからはまるでおとぎ話の世界。美しい花嫁衣裳に身を包み、招待客300人の豪華な結婚パーティー(これでも地味だとか)が連日行われることに。いやはやスケールの大きな国際結婚である。

ただし、こと日本での生活において黒川が玉の輿を実感することは皆無。
クリリンはアダルトビデオが大好きな、ごく普通のオッサンで、稼ぎもさほど多くはなさそう。ささいなことで仲良く喧嘩をしている様は日本人夫婦と変わらない。

こんな形の玉の輿もあるのかと、不思議な気分になりつつ、バングラデシュの世界的な立ち位置や風習も勉強できるお得なエッセイである。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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