『現代魔女図鑑』第2巻
伊咲ウタ 一迅社 \574+税
(2015年1月27日発売)
身長が高い、低い。声が高い、低い。
生まれついてのもの、「個性」だ。
このマンガの世界では、全人口の数%が魔女の血をひいており、魔術が使える。
魔女を先天的な身体の「個性」として描くオムニバスだ。
たとえば1巻では、ミヨという少女が、奥野という一般人男性と暮らしている様子が描かれる。
幼い容姿のミヨ。じつは彼女は魔力が抑えられず、身体の成長が全部髪の毛と爪にいってしまうため、見た目と年齢が合致しない。奥野のれっきとした嫁だ。彼女はこの姿を望んだわけではない。
2巻では魔女の力を持った高校生たちが集まって、魔力でほうきを高く飛ばす「魔法ロケット部」の活動にいそしんでいる。
やっていることは、魔法陣を張ったり空を飛んだりと、ファンタジーではある。しかし彼らが青春の情熱を注いでいる様子は、まぎれもなく今の学生のスポーツとまったく変わりがない。
このマンガでうならされるのは、「魔女」は女性とは限らないことだ。
性別問わず、魔力を有するものは一律に「魔女」と呼ばれている。身長の高い低いのように、魔力のありなしという「個性」はキャラクターそれぞれにある。しかし性別は必ずしも「個性」に影響しない。
彼ら・彼女らはおのおの自分の個性を活かした仕事について、自分のペースで生活を送っているだけ。一般人が自己の能力を活かして暮らすことと、差があるわけでもない。
たまたま魔法があったからこそ、見える景色もある。
2巻で、宇宙近くまでほうきで飛ぶシーンは圧巻。現実でも自分の個性を最大限に活かしきったからこそ見える景色も、きっとあるはずだと気づかされる。
2巻に入って、1巻のキャラとの絡みも出てきた。群像劇として楽しみな作品だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」