『猫の手はかりない!』
紺野キタ 幻冬舎 \630+税
(2015年2月24日発売)
訳アリ紳士たちとお気軽女装子の同居モノ――?
「はて……枯れ専ってやつですか?」といぶかしんだものの、どこか不思議で暖かいお話が持ち味の紺野節で、やっぱりハートウォーミングなほんわかいい話。
高齢のおじが古い友人たち3人とシェアを始めたので、父親と折り合いの悪いバイト暮らしのしのは、住みこみの家事手伝いとしてそのシェアハウスで働くことに。
見かけは完全に女の子なので、最初はチヤホヤ盛り上がったオッサンズも、しのの本名が小篠景虎と聞くと一転「御館様にあやまれ!!」とマジ怒りで、むしろ怒りポイント「そこなんだ」ってのが新鮮(笑)。
最初は住人たちの食事(やっぱり高齢者なので気をつけることいっぱいアリ)、掃除などをかる~く考えていて無責任だったしのも、透析を受けている小杉さんが倒れたことで、まじめに取り組むように。
それぞれ自分の家族とは住めない事情があるとはいえ、しののガールフレンドのマコちゃんを招いたときはみんなで正装して「執事喫茶ごっこ」をしたり、朝、庭で熊さんと陣内さんがブルースリー・エクササイズをしてたりと気心知れた仲間との生活は「老いぼれた男子校」(by徳さん)ってノリで前向きなのが特にイイ。
最後、しのは正月休みで実家に帰ったので、大晦日4人で「あの子がいないと静かだねえ」なんてしんみりしているところに、しのが「たっだいまー」と元気よく帰って来るのが、思い合うなら他人同士でももうそれは家族じゃん、って感じでいい大団円だった。
ちなみに、BLも同じ名前で描いているかたなので、いい話テイストは同じですがジャンルは要確認のこと!
<文・小山まゆ子>
フリーランスの編集・ライター。絶賛発売中!! の『このマンガがすごい!2015』、3月15日発売の『大人の少女マンガ手帖』にも参加させていただきました。あと2015年3月25日発売予定の『宝島AGES』2号にもチョロっと参加させていただいております。