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【きょうのマンガ】8月12日は「左利きの日」! おすすめするのは『クロスドミナンス』!

2014/08/13


CrossDominance_s

『クロスドミナンス』
小橋ちず 幻冬舎 ¥619+税


「左利き」には、どこか天才肌なイメージがある。
その一方で少数派ゆえ生活上苦労することも多く……積み重なる日々のストレスのために「左利きは早死にする?」などという噂も語られることもあったりする。

「さすがにこれは眉唾としても、左利きの人が暮らしにくいのは事実。そこで1992年の8月13日、イギリスで左利きの生活環境向上を目的として「左利きの日」が制定された。「利き手にかかわらずだれもが使いやすい道具を」と呼びかけるもので、この日は提唱者の誕生日であるそうだ。

さて、本日紹介する『クロスドミナンス』は、“左利き優遇社会”の話。
脳科学者が「左利きは先天的に優れている」「脳の発達過程で超能力も使えるようになる」などと発表したことを受け、政府は「左起用法」なる法律を制定。生まれつき左利きの子供をエリートとして育てる社会を舞台とした、ユニークなオムニバス短編集だ。

 

左利きというだけで幼い頃から天才扱いされていることに違和感を覚える子。特殊な能力を持つものの活かしきれず思い悩む子。左利きである娘と妹が共鳴しあうさまに、いらだちを覚える母。左利き、右利き、それぞれの不満や葛藤を抱えながら、よりよく生きる術を模索していく。
親が強制的に左利きとしてしつける「偽造手」問題、左利きエリートへの憎しみ、また「利き手差別」をなくす社会運動などが描かれるのもおもしろい。読みながら、「あ、これって、ほかの問題にも置き換え可能なのでは?」と気づかされるのだ!

ちなみに“クロスドミナンス”とは、動作によってどちらの手を使うかを使い分けること。
どちらも何にでも使える両利きとは、また違う意味で、たとえば「左利きだけどお箸は右手」などのように、使い勝手のいい手が異なることだ。「細かい仕事は右手、力のいる作業は左」のような人もいるようで、あなたもひょっとしたらクロスドミナンスかも。
試しに、左手でボールを投げてみたら、剛速球が投げられたりして!?



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ド少女文庫

単行本情報

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