365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月13日はたばこの日。本日読むべきマンガは……。
『シガレットアンソロジー メンソール』
太田垣康男、奥浩哉、オノ・ナツメ、黒田bb、藤原カムイほか
スクウェア・エニックス ¥562+税
今日1月13日はたばこの日。
1946年の今日「ピース」が発売されたことに由来し、ピース記念日とも呼ばれる。
当初ピースは、10本入り7円だったとか。
たばこ、タバコ、煙草。
昨今では嫌煙権などもあり微妙な立ち位置に置かれてしまっているが、しかし映画やマンガ、アニメや小説など様々なメディアにおいて、タバコは絶妙な小道具だ。
吹かす時の間合い、立ちのぼる紫煙……その独特の雰囲気は非常に印象的で、まさに絵になる場面ばかり。
今日とり上げる『シガレットアンソロジー メンソール』は、そんな“煙草”の魅力と役割を伝えたいという気持ちから生まれたものだという。
そのなかの一作である「ロング・ピース」。
ピース記念日の今日には、じつにうってつけの作品なのだ。
宇宙移民船ロングピース号が遭難して3年が経ち、ついに船内からはすべてのタバコが消えた。
自動販売機は完全な売り切れ状態。なぜなら船員たちはみな、タバコを吸わなければやっていられない理由があったのだ。
クリーチャーと戦い、生存競争を勝ち抜くために、タバコのいやしがどうしても必要だった。
今、戦いの果てに残ったのは主人公ただひとり。
ではなぜ彼は、クリーチャーと戦うはめになったのか。
そして、再びタバコを吸いたいと切望する彼がやったこととは……?
著者は『機動戦士ガンダム サンダーボルト』などで知られる太田垣康男。
SF好きな彼が丁寧な筆致で描き出した短編は、その見事なオチといい、まさにショートショートの名品。一読の価値ありだ。
なおこのアンソロジーの執筆者だが、マンガではオノ・ナツメ、イラストピンナップに藤原カムイなど、じつに豪華なラインナップだ。
加えて興味深いのは、表紙は奥浩哉が描くホストざむらいこと氷川(『GANTZ』)、さらには村田雄介描くゾンビマン(『ワンパンマン』)と、ほかの出版社の人気キャラがさらりと、そして堂々と登場しているということ。
装丁も本当に美しく凝っていて、作家陣だけでなく制作にたずさわった人たちすべての、タバコにかける深い愛情とこだわりが感じられる一冊だ。
なお、もっとタバコの世界に浸りたい方は、メンソールではない方の『シガレットアンソロジー』もぜひどうぞ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」