『シガレットアンソロジー』
大暮維人/大高忍/きらたかし/清水栄一×下口智裕/ふみふみこ ほか
スクウェア・エニックス \562+税
5月31日は世界禁煙デー。
1989年、WHO(世界保健機構)によって世界的に禁煙を呼びかける日として定められた。
以降、10数年の間に煙草をとりまく環境はずいぶん変わったように思う。
喫煙禁止区域での罰則、煙草のパッケージに健康への害に関する注意書き表記を義務づけるなど……また、町なかや公共施設から喫煙所は減り、喫煙者はどうも肩身が狭い。
未成年者への影響、喫煙マナーなどはたしかに社会的に問題にすべき点ではあるが、ともすれば映画やマンガなどの喫煙シーンまで叩かれる傾向にあるのは、無粋というものでは!?
本作は、「今だからこそ、煙草という小道具の持つ魅力と役割を伝えたい」というコンセプトから誕生した、煙草のある風景を描くアンソロジーだ。
大暮維人、ふみふみこ、きらたかしといったそうそうたるメンツが集結。
煙草がないと実力が発揮できない敏腕スナイパー、子どもの目から見たオトナの象徴としての印象深い煙草、夢はあるけど先が見えないバンド少女のくゆらす煙草……様々なシチュエーションによる短編に加え、ドラマを感じる粋なカラーイラストレーションを収めた好企画である。
煙草に火をつけてホッとひといき……もっと読みたい方は『シガレットアンソロジー メンソール』も、ぜひどうぞ!!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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