百貨店やショッピングモールがそろう大都会・渋谷。終電が遅いこともあり、午前0時を過ぎても、駅周辺には仕事終わりのサラリーマンや若者の姿が多く見られる。
そんな渋谷の一角にたたずむ「山下書店 渋谷南口店」。再開発が進む渋谷駅周辺を避けて移転、あるいは撤退を余儀なくされる大手書店も出てくるなかで、「24時間営業・年中無休」という業態を守り続けている書店だ。
終電間際、早朝にも立ち寄ることができるため、渋谷を訪れるお客さんにとっては欠かせない存在となっている。
雑誌の不振が叫ばれて久しい昨今、お店の売り上げの約4分の1ほどを占めるというマンガ単行本は、お店にとっても大切な商品。
今回はコミック担当の江田幸雄副店長に、深夜の仕事終わりの人々が購入し、続きが気になって夜眠れなくなってしまうマンガを3作品ご紹介いただきました!
山下書店 渋谷南口店オススメの3冊!!
『僕だけがいない街』 三部けい
『僕だけがいない街』第5巻
三部けい KADOKAWA/角川書店 \580+税
(2014年12月26日発売)
「マンガ大賞2014」第2位、そして『このマンガがすごい!2015』オトコ編第9位と、各賞を受賞している作品ということもあって、その前評判のよさを聞いた多くのお客様が手にとっていかれます。
本作は、タイムスリップを繰り返す主人公が、同級生に降りかかる事件を阻止しようとして、その真相に近づいていく本格サスペンスです。
2012年から連載が始まっていますが、まだ巻数が5巻と少ないため、男女問わずまとめ買いされるお客様も多くいらっしゃいます。
1巻を読んだら続きが気になってすぐ2巻を読みたくなると思うので、深夜に読み始めたら眠れなくなってしまうと思いますよ(笑)。
『僕だけがいない街』の【日刊マンガガイド】はコチラ!
三部けい先生のインタビュー【前編】【中編】【後編】も要チェック!
『ULTRAMAN』清水栄一×下口智裕
『ULTRAMAN』第5巻
清水栄一×下口智裕 小学館クリエイティブ \560+税
(2014年11月5日発売)
一部のコンビニエンスストアでしか販売していない雑誌「月刊ヒーローズ」に連載中の作品。
円谷プロダクションさんが渋谷にあるご縁もあって(笑)、販売に力を入れています。
今でこそ作品の知名度は上がったものの、第1巻の発売当初は販売しているお店も少なかったため、うちががんばらなければ、と思ったものです。
特撮テレビ番組『ウルトラマン』の“その後”を描いた作品で、巨大な宇宙人も怪獣も登場せず、等身大の強化スーツを着た「ウルトラマンの息子」が主人公です。
いわゆるリメイク作品と思って読むと驚くと思いますが、SFセンスもあふれていて、むしろ大人の読者さんに支持されるのではないでしょうか。
『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』柳内たくみ(作) 竿尾悟(画)
『ゲート -自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』第4巻
柳内たくみ(作) 竿尾悟(画) アルファポリス \700+税
(2014年4月20日発売)
シリーズ累計100万部突破のライトノベルをコミカライズ!
東京のど真ん中に異世界への門が開いて、その先にあるファンタジー世界に自衛隊が派遣されるという、エンターテインメントだからこそ許される設定の物語です(笑)。
『ガールズ&パンツァー』あたりから始まったミリタリブームの影響もありますが、他店舗ではあまり大きく取り扱っていない商品ということもあって、当店では特に売れているようです。
以前のお話になるんですが、作者の竿尾先生による直筆サイン本を置かせていただいたこともあります。店舗のスペースの都合上サイン会にまでは至らなかったのですが、そこまでやっていただいたら当店としても力を入れないわけにはいきません。
今後ももしかしたら、みなさんがふらっと立ち寄ったら、たまたまサイン本が置いてあった、なんてこともあるかもしれませんので、渋谷を訪れた際には、ぜひ当店に寄っていってください。
すでにアニメ化も決定しており、原作、コミックともども、もっと多くの方に読まれることを期待しています。
24時間営業していることのメリットはなんといっても“発売日に一番早く手に入れることができる”ことです。
大手出版社さんのたくさん売れているコミックはもちろんですが、今回挙げた『ULTRAMAN』『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のような“知る人ぞ知る”作品の発売も、楽しみに待っていてくださるお客様が多いと思います。
これからも、そういう方々に響くような品ぞろえを心がけたいですね。