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4月11日はガッツポーズの日 『リングにかけろ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/04/11


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『集英社文庫 リングにかけろ』第4巻
車田正美 集英社 \590+税


きょう4月11日は「ガッツポーズの日」である。

ガッツポーズとは、ご存じのように両手や片腕を高々と掲げるポーズのこと。
そもそも「ガッツポーズ」は和製英語であり、その由来には諸説ある。
しかし、この「ガッツポーズの日」は、プロボクサー・ガッツ石松がWBC世界ライト級の王座を奪取した日にちなんでいる。

1974年4月11日、日大講堂(旧両国国技館)で世界王者ロドルフォ・ゴンザレスと対戦したガッツ石松は、第8ラウンドで王者をマットに沈め、ライト級としては日本人初となる世界チャンピオンの座に輝いたのである。
テレビ・タレントとして見せるトボけたキャラクターしか知らない世代にとっては、現役時代のガッツの荒々しい「ケンカ殺法」には驚きを禁じえないはずだ。

そんなガッツ石松とゆかりの深い作品といえば、ボクシングマンガの金字塔、車田正美『リングにかけろ』だ。

中盤以降、ギャラクティカ・マグナムやブーメラン・テリオスといったスーパーブロー(必殺技)が飛び交う超絶バトルマンガとなっていったが、序盤(上京~都大会編)はかなりリアル路線が続いた。
ジャブの打ち方、クロスカウンターなど実際のボクシングの技術を作中で解説するシーンも数多く、そんななか都大会決勝で主人公・高嶺竜児が宿敵・剣崎順と戦う際には観客席に輪島功一(元WBA・WBC世界スーパーウェルター級統一王者)、具志堅用高(元WBA世界ライトフライ級王者)らとともにガッツ石松も登場。

作中でガッツ石松は、主人公・高嶺竜児の右ストレートを「ジョルジュ・カルパンチェのあみだしたホイップ・パンチ」と解説する。
そう、格闘マンガにはつきものの「主人公たちの戦い(の高度さ)を解説する外野」の役割を果たしているのだ。そういった「説得力を要求されるシーン」で出番となっているのだから、ボクサーとしてのガッツ石松に対する信頼度と人気の高さがうかがえる。

都大会決勝が「週刊少年ジャンプ」に掲載されたのは1978年。すでにガッツ石松は王座から陥落し、この年に引退することになる。
都大会決勝終了後、ガッツ石松は主人公の控え室を訪れるシーンが描かれる(対面は実現せず)が、引退後は指導者として高嶺竜児を自身の後継者に育てようとしているかのようだ。

なお、ガッツ石松らが登場するシーンは、本作を改稿した『リングにかけろ1』では修正が施され「ボクシング関係者」とされている。
この『リングにかけろ1』は、2000年に続編『リングにかけろ2』がスタートする際に改訂されたバージョンで、2001年からジャンプ・コミックス・デラックスで刊行された。初出の昭和50年代と21世紀では表現に関する考え方が世間的にも大きく変容しており、現代にマッチするような修正や変更を施している。いわば「21世のポリティカリー・コレクトネスを適用した初代『リンかけ』」といえるだろう(1巻屈指の名シーン「OH! テリブル東京」もカットされてしまった。残念!)。
ちなみに、Kindle版(ジャンプコミックスDIGITAL)や2004年にアニメ化された『リングにかけろ1』の原作は、このバージョンを用いている。

とはいえ、じつは集英社文庫版にはオリジナルのまま収録されているので、ガッツの勇姿を見たければ、集英社文庫版『リングにかけろ』の4~5巻をチェックすればOK牧場!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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