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4月24日は吉田松陰が黒船での密航に失敗した日 『風雲児たち 幕末編』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/04/24


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『風雲児たち 幕末編』第6巻
みなもと太郎 リイド社 \524+税


現在放送中のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』は、幕末の長州(今の山口県)を舞台に、当時の急進的思想の拠点「松下村塾」に集う若き志士たちの姿を描いている。

その松下村塾の塾頭がご存じ吉田松陰。通称を寅次郎という。
わずか11歳で藩主・毛利敬親の御前で講義を行い、感服した敬親公がみずから門下生となったほどの秀才・寅次郎は、西洋列強の存在と日本の国防力の低さをいち早く察知して江戸の佐久間象山に師事。ゴリゴリの尊王攘夷思想に染まる。

時はおりしも1854(嘉永7)年、アメリカ合衆国海軍東インド艦隊司令官マシュー・カルブレイス・ペリーが、日米和親条約締結のために再航したころだった。
旧暦3月27日、つまり現在の暦法で4月24日。
当時江戸に遊学中の寅次郎は「敵を知り己を知れば」と思ったか、それとも一気にペリーにテロを仕掛けようと企てたかは定かでないが、下田から小舟で旗艦ポーハタン号に接近、乗船までしてのける。
残念ながらこの密航は失敗に終わるのだが、この後寅次郎は理解不能な行動に出る。

なんと彼は、下田奉行所に出頭してしまうのだ!

攘夷なのに黒船で海外に連れて行けと言ったり、失敗するや自首してみたり……。
この、およそ現代人に理解しづらい吉田松陰の気持ちを非常にわかりやすく説明してくれるのがみなもと太郎の『風雲児たち 幕末編』だ。

さきの佐久間象山と並んで幕末の攘夷思想の始祖となった人物だけに吉田松陰の登場は早く、第1巻の第7章で前述の御前講義のエピソードが描かれる。
また、くだんの黒船密航については、第6巻でふれられている。

結論から言うと吉田松陰を突き動かしていたのは、「志」だった。
天道に照らして正しいと思った「志」からくる行動ならば、誰にも非難されるものではない――つまり、陽明学における「知行合一」思想に基づいて松陰は行動していたのだ。

バカがつくほどのまじめで口を開けば正論ばかり、という松陰のキャラクターは、ギャグマンガのオーソリティである作者によって、エキセントリックなまでにディフォルメされている。
しかし、そのエキセントリックなギャグマンガ的行動こそ、投獄を経て幕末最大最悪の弾圧事件「安政の大獄」へとまっしぐらに突き進む吉田松陰の狂気じみた生き様に重なって、やがて哀しくさえ思えてくる。

大河ドラマ以上に気宇壮大な大河マンガ『風雲児たち』は、マクロ的に日本史をとらえるのに最適なテキストブックにもなるだろう。
つまり、受験にも役に立つってことだ。読んでおいて損はない。



<文・富士見大>
編集プロダクション・Studio E★O(スタジオ・イオ)代表。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、「月刊ヒーローズ」(ヒーローズ)ほかに参加する。

単行本情報

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