『風雲戦国伝 風雲児たち外伝 新装版』
みなもと太郎 復刊ドットコム \1,600+税
(2014年9月12日発売)
あまりにも偉大な歴史ギャグマンガ超大作『風雲児たち』の番外編。『風雲児たち』を読んでみたいけど、長くて敷居が高い……と二の足を踏んでいる方は、ぜひ本作を入り口にしてみてほしい。
『風雲児たち』本編は、江戸時代300年を通じ、有名な人物からマイナーな人物まで、膨大な人々を描ききった大河ドラマ。
本作は関ヶ原前夜を中心とした連作集だが、本編同様、ギャグもばんばん盛りこみつつ、作者独自の解釈が語りおろされていくリズム感が抜群、歴史の知識がなくてもスラスラ読めるエンターテインメントだ。
本書筆頭で取り上げられている大谷吉継なる人物に関しては、筆者もまったく知らなかったものの、陰の“関ヶ原のヒーロー”ぶりに魅了されたしだい。
コミカルな語り口のなかにも、登場人物それぞれの事情、思惑、欲望、仁義や人生哲学がたっぷりと描かれ、その人間ドラマに引きこまれずにいられない。
巻末には作者インタビュー、そして手塚治虫との遭遇を描いたコミックエッセイも収録。サービス精神いっぱいの、うれしい新装版だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」