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『女子高生VS』第1巻 氷川へきる 【日刊マンガガイド】

2015/05/18


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『女子高生VS』第1巻
氷川へきる KADOKAWA \570+税
(2015年4月24日発売)


「天の川学園高校生アイドルプロジェクトJKVS(女子高生ヴァーサス)とは!? アイドルを目指す若者たちを集め 学園設定のなかでアイドルを目指す 期間限定のプロジェクトなのだ」

……というのは後付け設定。
いちおう「アイドルマンガです」と帯にはあるけど、断じて違います。

まず『ぱにぽに』などと違って、ストーリー軸がいっさいない。
たとえば「ネコがドッグフード食べてるかと思ったらキャットフードだった」とか「福引まわしたらうんこ当たった」「お弁当と間違って王冠を持って来ちゃった」など、物語性皆無のネタがどんどん投下される。しかも地味に伏線になるから困る。

序盤は、女子高生の天然少女さとうかえで、元気いっぱい西園寺詩音、真面目な学級委員長村雨かたなを中心とした、高校生コメディだった。公式の試し読みでも「女子高生が何かとタタカう」マンガだった、と書かれている。 なのに読んでいたらいつの間にか「女子高生ヴァーサス」はアイドルの名前だったことが判明。彼女たちの通う天の川学園は、アイドル育成に励んでいると判明。しれっと内容変わってます。

かわいい女の子が出てきてアイドルという体裁はとっているものの、方向性は榎本俊二の『ゴールデンラッキー』の不条理ギャグのテンポに近い。
氷川へきるマンガの女の子は非常に肉感的でかわいらしい。シュールさに女の子をかぶせることがめくらましとなり、話を曖昧にする技術で描かれた作品。いわゆる「上級者向け」。

作者の『まろまゆ』のキャラはしっかり登場するうえに、『ぱにぽに』や『桃組っ!!』、『キャンディポップナイトメア』ともつながっているので、ファンはそのあたりを捜してみるとおもしろいはず。
片桐姫子はどうやらこの世界にいるらしい。マホ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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