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『暗殺教室』第14巻 松井優征 【日刊マンガガイド】

2015/05/30


AnsatsuKyoushitsu_s14

『暗殺教室』第14巻
松井優征 集英社 \400+税
(2015年5月1日発売)


この春、実写映画も公開となった『暗殺教室』。
映画版では、あのキャラクターが意味ありげな表情をのぞかせて、さらに頭から……と、単行本読者には衝撃の事実も描き出された。

これは連載の進行を見越したもので、すでに映画の続編も決定してるが、刊行された最新14巻はまだその衝撃の展開に至るまでの前段階。
さまざまな学校行事のなか、成長と変化と進歩を見せていく生徒たちの姿が描かれている。

エリート学校・椚ケ丘中学校において、落ちこぼれたちが集められた3年E組。その担任教師として現れたのは、最高時速マッハ20で動き、万能の触手を持つタコ型の人造生命体!
月を破壊してしまったこの生命体は、自分を殺せなければ来年3月に地球も破壊すると予告。そしてなぜかE組の担任となることを希望する。
この状況のなか、生命体の暗殺を託されることになったのは、ほかならぬE組の生徒たち。しかし「殺せんせー」と名付けられた生命体の教育論に触れていくうちに、生徒たちは殺せんせーにある種の親愛や尊敬も感じるように。
一個人としても暗殺者としても成長していくなかで、リミットは近づいて……。

第14巻では、そんな生徒たちが主体となった学園祭が開催される。ここでは、過去に登場した名キャラクターや珍キャラクターたちが再登場(修学旅行の高校生たち、笑わせてくれます!)。
また、理事長の息子でエリートクラス3年A組の生徒である浅野学秀からE組に、父親である理事長の「暗殺依頼」が持ちこまれることになる!

緊張と笑いが入り混じるのが、『暗殺教室』の魅力。さらに言えば、緊張と笑いのその先には、胸打つ感動が常にある。
今回の学園祭、「暗殺依頼」の一件においても同じだ。そうした感情の波が、ブラックでいてかなりユーモラスなトーンのなかに無理なく同居しているというのが、本作のじつにすごいところ。
「暗殺依頼」の一件に絡んでくる試験描写の描き方にしても、これぞマンガという醍醐味ありだ。

作中での時間軸では、殺せんせーの暗殺期限まであと3カ月。ここから怒涛の展開に入っていくこと必至なだけに、ゆるっとした楽しさも味わえるのはこのあたりまで?
今後の流れを考える意味でも、意義深い巻かもしれない。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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