『おとなりボイスチャット』第1巻
こじまなおなり 徳間書店 \620+税
(2015年5月13日発売)
大学生活を“ぼっち”でスタートすることになってしまった主人公の前に、現れた救世主。
しかし彼女は、声はすれども姿は見えない女性だった――。
田力治(たぢから・おさむ)は、大学入学直後に交通事故にあって長期入院をするはめになる。
3カ月が経過し、また学校に通えるようになった時、ほかの学生たちにはそれぞれ仲よしグループができてしまっていた。
だが治には、さみしいぼっち生活を癒してくれる存在がいた。隣室に住む大神(おおがみ)さんだ。
ものすごく壁の薄いアパートだったせいで、治と大神さんは壁越しに会話をしながら日々をすごすことになる。
大神さんの声はとてもかわいく、優しい。リアクションが、ともかく萌える人なのだ。
対面を果たすことなく、いろいろなコミュニケーションを重ねていくふたり。
治は、彼女についてどんどん想像してしまい、みるみるうちに心惹かれていくが――。
控えめで心優しい、ピュアな青年・治。そして姿はほとんど見えないのに、やけにかわいい萌えキャラの大神さん。
2人の間にあるのはなんともくすぐったく、じれったく、それでいて心温まる恋だ。
絵柄がいい意味で朴訥で、雰囲気がストーリーに合っていて、ぶっちゃけすごくときめきます。
さらに因幡美月(いなば・みつき)という美人学生も登場して、彼らの恋の行く末が、さらに気になる展開に。
1巻の終わり方がうまくて、ええええここで切るの!?と、思わずじたばたしてしまう絶妙さ。
しかし、人間の想像力はすごい。
このマンガを読むと、人は自分の想像でどこまでもときめくことができる、ものすごい生き物だなと思う。
治にとっての現実は、いったいどうなるのか。彼の想像を超える? 超えない?
また超えるとしたらどうやって……?
そのあたりも、ますます今後が楽しみな一作だ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」