地味な女子と学校イチモテる派手な男子の恋愛ものというのは、少女マンガでは昔から王道の設定だ。 しかし、「草食系男子」というワードが定着して以降、童貞のアラサー男性が相手役となる恋愛マンガが目につくようになってきた。
アラサーで奥手ともなると、つきあうきっかけすら正攻法ではいけない……。そんな男性と初々しい恋愛をしてみたい女性も増えている!?　もしかして、草食男子だらけの現実とリンクしているのかしら!?

今回は、ブログ「オトコでも読める少女マンガ」を運営するいづきさんに、「アラサー童貞との恋愛」をテーマにした作品のなかから、オススメのタイトル3つをうかがった。

[※2013年から2014年8月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています。]

いづきさんイチオシの3作品！

『恋のウニフラ』 江本晴

『恋のウニフラ』第1巻
江本晴 講談社　\429＋税
（2014年7月11日発売）

恋愛経験のない童貞編集（28）と、恋から遠ざかっている売れない少女漫画家（26）の恋物語。
恋を知らない編集・瑞江は、少女マンガに携わる者として恋を学ぶべくおつきあいを提案し、一方の少女漫画家・キクコは、マンガのネタにするためにおつきあいを受け入れる……。

きっかけは、どこかビジネスライクで打算的な感情。そのまま大人な恋愛が繰り広げられるのかと思いきや、そんな雰囲気は皆無の、じつに初々しい光景がそこに。
初デートは動物園、使う財布はマジックテープ。全然スマートではないけれど、まじめに一生懸命向き合ってくれる彼に心ときめきます。
かと思ったら一転、女心を汲めない言動にげんなりさせられたり。

恋愛経験の浅い男性とのおつきあいでの、いいところ・悪いところが、段階ごとにバランスよく、コミカルに落とし込まれた、純度の高いラブコメです。

『童貞教師のふまじめな日常』 わたなべ志穂

『童貞教師のふまじめな日常』第3巻
わたなべ志穂　小学館　\429＋税
（2014年6月26日発売）

少女マンガの王道・教師と生徒もの。
少女マンガで教師と言えば、経験豊富な非童貞の象徴とも言うべき存在でしたが、今の時代では普通に童貞です。

生物教師・桐島（26）が、童貞であることに付け込まれ、怖いもの知らずな女子高生から攻められ放題。けれども桐島は必死に抗い、体勢を崩されつつも決して一線は越えずに踏んばります。
キスとかは普通にしちゃっていて、その時点で教師としてはアウトな気はするのですが、童貞としてはセーフ。童貞である以上、やはりセックスするかどうかが一番大事なラインなのでしょう。
謎な判定基準で発揮される生まじめさは、理系男子ならではといったところでしょうか。

ややねっとりとした濃いめのエロというレーベル色は保ちつつも、一線は越えずにギリギリのラインを攻めるその心意気やよし。そのぶん余計にエロさが増している気もするし、確実にバカさ加減はアップしている模様。
童貞というネタをコミカルに料理した、楽しいエロラブコメになっています。

『逃げるは恥だが役に立つ』 海野つなみ

『逃げるは恥だが役に立つ』第3巻
海野つなみ　講談社　\429＋税
（2014年2月13日発売）

「このマンガがすごい！2014」オンナ編の第8位にランクインした本作も、草食系な童貞がお相手役となっています。

家事代行とクライアントという関係が転じて、”契約結婚”という雇用形態を取るに至った男女のお話。結婚することによる「利」がまずありきの関係は、思いのほか便利で心地よいものでした。
しかしその居心地のよさは、やがて相手への特別な感情へと形を変えていきます。

恋愛感情を介さないがゆえに成り立っている関係ですから、ことさらそういった感情は言い出しにくく、互いに遠慮しがちな歯がゆい関係を築き上げます。
特に夫の平匡(36)は恋愛経験ゼロの高齢童貞ということもあり、その様子があからさまでかわいらしい。妻・みくり(25)の匂いが残る布団のなかで、悶々とするシーンなどは必見です。

ご協力者紹介：いづきさん

「オトコでも読める少女マンガ」というブログで、少女マンガ、女性向けマンガの紹介をしています。

腰痛を療養しつつマンガを読む日々。

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