『ばくおん!!』第6巻
おりもとみまな 秋田書店 \552+税
(2015年5月20日発売)
自動車と比べて、寒いし乗りづらいし荷物も載せられない。
自転車と比べて、運動にならないし置き場所もとるし。
あれ、なんで乗ってるんだろう、バイク。
「バイクはバカにしか乗れん」。
『けいおん!』のように女子高生数人が仲よくやってるマンガかと思いきや、次から次へと攻撃的なセリフが飛びかうから油断ならない。
たとえば「スズキ以外ならすべてのオートバイは自由で平等だ」「スズキはダサい」と、みんながスズキのバイクを責めまくる。ひどい。
400ccのカタナを愛用している、スズキ信者のツインテール少女・鈴乃木凛は激怒。
スズキをバカにするな、スズキこそが最高のバイクメーカーよ!
カワサキ、ヤマハ、ホンダ、スズキetc……。あらゆるメーカーのバイクが登場するこの作品。褒めあうよりも、女子高生たちが「このメーカーが一番!」「これはない!」と罵倒しあうシーンの方が多い。
なぜそこまで本気で怒れる?
すべては「乗りたい」から、そして「愛しているから」だ。
孤独に楽しむのもいいだろう。みんなでツーリングにいく時の共有感もたまらない。苦労してめんどうな道を乗り越えるのは楽しい。
徹底してメーカーの美学にこだわるのも、逆に自分なりのカスタムを施すのも楽しい。
少女たちがある種のバイクをバカにしているかのような描写が多いのは、著者が愛情を深くもっているゆえだ。
さてヒロインの佐倉羽音(さくら・はね)。第1巻では運転免許試験場で、話しかけてくるホンダスーフォアのタンクが出てくる。
彼女はその後別のスーフォアを購入するが、ある日転ばせて傷つけてしまう。
最新第6巻では、タンクを交換した時、教習車からはずしたスペアパーツとして最初に出会ったスーフォアと再会するのだ。
そんなバカな、でいいんじゃない。
なんせ、バイクはバカにしか乗れんからな。
アニメ化が決まったこの作品。
リアルなバイク描写と、美少女たちがバイクの実名を出して、エゴをぶつけあうのが、もっともおもしろいところ。
凛がスズキをバカにされて、「私の選んだバイクは最高なんだ!」と怒鳴りちらすシーン、待ってます。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」