『げんつき 相模大野女子高校原付部』第4巻
アキヨシカズタカ KADOKAWA/メディアファクトリー \552+税
(2014年11月22日発売)
旅行マンガは2つの視点を持ち合わせていることが多い。
ひとつは居住区域から外へ移動するという、マクロな視点。もうひとつは、普段見逃していることに気づく、ミクロな視点だ。
原付部の部員・沙耶と詩、そして2人の友達が、原付バイクに乗ってほんのちょっとだけ旅をする。
原付で日帰り。出てくるのは相模原市、海老名市、町田市、藤沢市などなど。日曜日にちょっと足を伸ばして横須賀市。
無理せず見て回れる半径で、決して大旅行ではない。
出かけた少女たちの目から見た景色を、オムニバスで描いていく。
大半は、なんてことのない場所だ。
沙耶が運転をして、詩が後ろに乗っているのがポイント。詩はケータイカメラで、行った先々の写真を撮る。そうすることで、普段気にもとめなかったものに潜んだおもしろみを、次々に発見していくのだ。
最終4巻は、「目的地のある旅行」「疑問を考える旅行」「新しい友だちと出かける旅行」「ひとりで出かける部長の旅行」、そして「出かけるための旅行」が描かれている。
「理由はやっぱりいつもあとづけ。なんだっていい! たいていは原付部のみんなが、とくに詩ちゃんが見つけてくれる!」
毎回見開きで入る神奈川の景色は、特殊ではない。
だからこそ、ハッとさせられる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」