『不器用な匠ちゃん』第1巻
須河篤志 メディアファクトリー \552+税
9月24日は歯科技工士記念日。1955(昭和30)年9月24日に日本歯科技工士会が発足したことを記念して制定された記念日だが、もちろん一般にはなかなか知られていない。
とはいえ、入れ歯や矯正器具、義歯、継ぎ歯、詰め物やかぶせ物などを作る歯科技工士にお世話になったことのない人は少数のはず。耳慣れないようで、じつはかなり身近な技術職である。
『不器用な匠ちゃん』のヒロイン・藍川さん(20歳)は歯科技工士。手先がめっちゃ器用で仕事の腕は超一流。不器用なのは人間関係で……同性・異性を問わず人づきあい全般が苦手なのである。
それというのも生き甲斐ともいえる趣味を、まわりにドン引きされることを恐れてひた隠しにしているせい。なかなかの眼鏡美人でおとなしそうに見える藍川さん、じつは筋金入りの武器マニアなのだ! プライベートの時間は、ひとりミニチュアやフィギュア作りにいそしんんでいる。
ところが、そんなマニアックな趣味がたまたまばれてしまったことを機に、藍川さんにものづくり仲間ができる。
鉄道模型、ミニチュアフード、ジオラマと、それぞれに熱いオタク心をぶつける男女が集まるサークルに参加することに。同じ喜びを共有できる同志と楽しい時間を過ごすなか、巻を追うごとにラブコメ要素も強まっていく。
サークルの面々も藍川さんに負けず劣らず恋愛に不器用だが……初々しい恋模様、そして藍川さんのかわいらしい赤面こそ本作の見どころなのだ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」