『ダムマンガ』第1巻
井上よしひさ 少年画報社 \630+税
(2014年10月16日発売)
ダムのマンガである。ちゃんとダムに興味を読者に持たせつつ、女子高生の成長物語と絡めたマンガとして成立しているから、このマンガはすごい。
ヒロインの黒部弓美は、名前の「黒部」ゆえに「ダム子」と呼ばれ、いじめられていた。
大のダム嫌いになっていた黒部が高校入学をした時、彼女を捕まえたのはダム部の部長、八田かなん。いやがる黒部を引っ張りまわしながら、八田は各地のダムを巡ってダムウンチクを彼女に叩きこむ。
ダムは2000年代に「ダムはムダ」「税金の無駄づかい」と言われ、ネガティブな印象が強かった。だが八田が解説するダムの仕組みを読むと、いかに奥深いかよくわかる。
形状、素材、用途などなど、ダムそれぞれすべて違う。時代ごとの技術によってどこまで作ることが可能だったのか、経済状態はどうだったのかまで、ダムを見ればわかる。
情熱を傾けるだけの魅力がダムにはある。
ダムを巡り、調べることで、黒部と八田、そのほか参入するキャラの友情が深まっていく。
とても続きそうに思えなかったダム部の存続に悩む様子や、ダムが嫌いなのに八田を好きになっていく黒部の思いが交錯していく様を、とてもまっすぐな青春劇として描いている。
百合要素が強めなのも、オススメです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」