『マジカルパティシエ小咲ちゃん!!』第1巻
古味直志(作)筒井大志(画) 集英社 \400+税
(2015年6月4日発売)
この作品は「週刊少年ジャンプ」連載中の人気ラブコメ『ニセコイ』のスピンオフ作品だ。
しかし、全然気にしなくていいぜ!
『ニセコイ』を1ページも読んだことない人でも楽しめます。設定も、ほとんどつながってない。
この手の「魔女っ子スピンアウト」は、今までだと『天地無用!』から『プリティーサミー』、『とらいあんぐるハート』から『リリカルなのは』など、数多く行われてきた。
いずれも原典の物語とつながりはなく、単体で成立している。
主人公の小野寺小咲は、メガネをかけたちょっとどんくさい女の子。内気で夢見がち。告白する勇気はないけど生徒会長の一条先輩のことが好き。
ところが突然目の前に現れたルーリンとかいう魔法の国の生きものが、自国のピンチを救うため、小咲に自分と契約して魔法少女になるように言ってくる。
うーん、安心するこの展開。
さて『小咲ちゃん』は、大人向け魔女っ子ものを非常によく研究し、魔女っ子エンタメの魅力をほぼすべて突っ込もうとしている。
・魔法の仕組みについて、ちゃんとした解説がある
・変身前の本人に特別な能力がないからこそ、魔法少女化した時の強さが引き立つ
・大事件と、先輩への恋愛が、同じバランスで描かれている
・謎の黒幕が存在する(バレバレだけど)
・中盤から、新しい魔法少女仲間が増える(もちろん『ニセコイ』キャラ)
・アクションシーンはド派手、3人チームの協力プレイが見もの
・変身する瞬間全裸になる(サービス!)
あとは、友だち同士のいさかいからの友情などが増えていけば完璧。
奇をてらった展開はほとんどない。「みんなが見たかった魔法少女」を描くことに、一点突破している。
いくらでも設定は増やせそう(『ニセコイ』からの輸入で)なので、なが~く続いてほしいシリーズだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」