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『乱と灰色の世界』第7巻 入江亜季 【日刊マンガガイド】

2015/07/11


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『乱と灰色の世界』第7巻
入江亜季 KADOKAWA \720+税
(2015年6月15日発売)


魔法の力で子どもから大人の女性へと変身する少女・漆間乱(うるしま・らん)の周囲で巻き起こるささやかな事件を、温かな目線で切り取った、ハートフルな味わいの作品としてスタートした『乱と灰色の世界』。

しかし、連載が進むにつれ、次第にハードな世界観が明らかになっていき、シリーズの後半では、乱の家族をはじめとする強大な力を持った魔法使いたちが、総力を結集して世界の危機に立ち向かう、壮大な物語が展開される。

最終巻となる本巻では、そんな小さな町で繰り広げられた大きな戦いのエピローグが、ほぼ1冊まるまる使って描かれる。

それは、乱というひとりの少女が、生まれて初めて経験しただろう、大切な人の死を受けいれるまでの、「喪の儀式」だ。周囲の人々の、かぎりない優しさに包まれてもなお、簡単には受けいれることのできない哀しみと、そこからの再生。繊細で緻密な絵によって描かれる物語は、かぎりなく切なく、そして、温かい。

早く大人になりたかった少女が、本当に大人になった時、どんなことを想うのか。その答えを、ぜひその目で確認して、じっくりと味わってほしい。

<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei

単行本情報

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