『ストラヴァガンツァ~異彩の姫~』第3巻
冨昭仁 KADOKAWA/エンターブレイン \620+税
(2015年2月14日発売)
美しいドレスに、フルフェイスの鉄兜をかぶった女王、ビビアン。側近の者しか彼女の素顔を見たことがない。
ビビアンはおてんばな少女。兜をはずしては「クラリア」と名乗り、城の外へと冒険に出かける。もちろんみんな、本来のビビアンの顔を知らないので、女王だとは気づかれない。
1巻はクラリアとなって街の酒場や市場をめぐり、城外で水浴びするといった楽しい日々が描かれていた。
ところが2巻になって物語は一変。ウンバという巨大なサルに街が襲われ、次々と破壊されていく。あまりの死者の多さに、美しい街を捨て、ビビアンと生き残った人々は、巨人族に助けを求めにいくことになる。
ビビアンは女王として先頭に立ち、街をとり戻すべく戦いに身を投じる。
ビビアンが「勇敢な女王」と「幼い少女」両方の側面を持っているのを、鉄兜で表現している。
彼女が兜をはずすときはイキイキとした歳相応の少女。兜をかぶっているときは民衆を率いる頼れる女王だ。
とはいえ、感情はそう簡単に割りきれるものではない。辛くて、悔しくて、彼女はそっと鉄兜のなかで涙を流す。
3巻ではなぜ巨大なサルが暴れたかの真相が明らかになる。
この作品のもうひとつの魅力は、女性のフェティッシュな描写。ビビアンの健康的な肢体がとにかく美しい。一度服が刻まれてしまい、裸に外套一枚で走りぬけるシーンは、若さにあふれていてまぶしい。
また彼女が助けを求める巨人族の女性たちの力強さもたまらない。ウンバをなぎ倒しながらも、たおやかな女性らしい仕草を見せる様子は、たいへんキュート。
派手なアクション、せつない女王の立場、女性の美しさ。表紙にひかれたら、読んで損なし!
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」