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『のぼる小寺さん』第1巻 珈琲 【日刊マンガガイド】

2015/07/28


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『のぼる小寺さん』第1巻
珈琲 講談社 \590+税
(2015年7月7日発売)


ボルダリング、というスポーツがある。
腕と脚だけで崖を登る競技だ。

ヒロインの小寺さんは、ボルダリングが大好きだ。
ひとりで、黙々と登る。登る。学校に設置されたボルダリング用の崖を、登る。
遠くから見ていると、なんともちょっと不思議な光景だ。

まっさきに練習場にきては、ひとりでマットを拭き、登るパーツを磨き、外れないか調整し、練習に挑む。
別に人と接するのが嫌なわけじゃない。むしろコミュニケーションは好きなほう。
ただ、ボルダリングが好きで、最優先にしているだけ。

彼女が何度落ちても、崖を登ろうと挑む姿。常に自分の限界に挑み続ける姿。
いろいろな少年少女が小寺さんの、愚直とも言えるその様子を見て、自分はがんばれているのかな、と考える。
ストイックに“挑み続ける”少女。何度も失敗しても全然めげないんだもん。自分にももっと何かできる気、そりゃしてきちゃうよ。

また、ボルダリングをする少女の身体美を堪能できる作品でもある。
体中の筋肉という筋肉を使うスポーツ。けれどマッチョだと重くなってしまう=崖が登りづらくなるので、身体の肉づきのバランスが重要。 ああ、美しい。見とれちゃうよ小寺さん。
しなやかに、力強く崖を登るシーンは、見ていてたまらなくドキドキする。

とてもまじめで、ひたむきな小寺さん。
謎なのは、髪の毛をギンギンの金髪に染めていること。なんでだろう?
ほかにもありそうないろんな謎に首を傾げながら、多くの人が見守るなか、小寺さんは今日もうれしそうに、登り続ける。

<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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