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『のみじょし』第1巻 迂闊 【日刊マンガガイド】

2015/08/01


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『のみじょし』第1巻
迂闊 竹書房 \650+税
(2015年7月4日発売)


最近、アラサー女子の生活を描くマンガが、モリモリ増えている。
おそらくマンガを買って読むメイン読者層が30代前後になっており、「自分の友だち感覚として」「共感できる年齢として」「かわいいと思える相手として」アラサー女子の登場するマンガを買って読んでいるからではないかと、筆者は考えている。

高瀬道子29歳。ひとり暮らしの独身OL。メガネにおかっぱが似合う気ままなお酒好き。ビールに目がない。
東雲ゆき29歳。主婦で2児の母。子どもを愛する旦那にまかせて飲みに出る。なんでも飲める酒豪。
宮内美園29歳。独身の書店員。体を鍛えるの大好きで、ジム通いで筋トレが日課の日本酒好き。

三者三様のアラサー女子。
旦那と仲よしで子どもを愛している温厚な奥様のゆきが、友人と酒飲みに行ってたまにはっちゃける。ああグッときますね。いいですね。

アラサー女子を描く際、お酒をテーマにすると非常におさまりがいい。
なんといっても、「酔いたい!」というストレスパンパンの状態と、酔ったあとの、人間としての素の状態が、アラサーの揺れ動く心理にピタリとハマるからだ。

たとえば、道子が美園にジムに連れていってもらったシーン。
帰り寄った居酒屋でいい笑顔で道子とゆきがジョッキを飲み干し、無言でおかわりする。
Q.今日痩せた分は? 
A.考えたら負け

彼女たちが心の底から気持ちよさそうにお酒を飲む様子は、見ていてじつに気持ちいい。読者のストレスを代理で発散してくれるから。
「3人で」というのが作品のキモ。みんなで集まる理由としてのお酒なのだ。
飲み会で渡すプレゼント選びでウキウキしている道子の様子は、まるで子どものようだ。

最初に言った言葉、少々訂正。
アラサー女子マンガが増えているのは、大人になっても垣間見える「少女」な部分が、たいへんキュートなことに気づいた人が増えたからのだ。きっと。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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