『ジャンプの正しい作り方!』
サクライタケシ 集英社 ¥580+税
(2015年7月3日発売)
大場つぐみ・小畑健の同名コミックを、大根仁監督が佐藤健・神木隆之介を主演に迎えて今秋映画化される『バクマン。』。原作のマンガもフィクションの形ながら、「少年ジャンプ」の裏側を知ることができる作品となった。そんなこの映画のひとつの見どころでもあるのが編集部に通じる廊下だ。
映画に登場する編集部自体はセットだが、この廊下は実際に集英社で撮影したもの。それが圧巻♪ 歴代の作品のポスターやPOPが壁一面に隙間なく飾られている光景たるや!
全国のマンガファンは興奮必至だが、こちらにもそんな光景を実際に生で見て興奮する人物が!! その人物というのは、元・漫画家志望で現・おにぎり屋のサクライタケシ(30歳・男)。
マンガから足を洗って数年、就職・結婚もして平穏な生活を送っていた彼のもとに、元担当編集者だったM山さんから突然電話が!? その内容は、「ジャンプ」のルポマンガを描いてほしいというもの。「ジャンプ」がいったいどのように作られているのか、「ジャンプ」に隠されたさまざまな謎を追いながら描くというもので、サクライは4年ぶりにジャンプ編集部を訊ねることになって……。
そんなわけで、サクライタケシ『ジャンプの正しい作り方』は、タイトルどおりジャンプの製作現場に潜入し、その裏側と秘密に密着したマンガだ。
印刷や製本の現場から、編集部の様子までうかがうことができる。日本一のマンガ雑誌が読者の手に届くまでの間には、どんな人々がいて、どんな過程があるのか? それはぜひ読んでたしかめてみてほしいが、そこに描かれている知識以上に、サクライタケシのマンガのうまさが楽しめるのも本作の魅力。
省略と逸脱とギャグ。この作品自体が、本編で描かれている「ジャンプ」のおもしろさの秘密、それがギュッと凝縮されたものなのだ。
いろんな意味で楽しめるマンガ雑誌製作現場の裏側。「ジャンプ」ファンならずとも必見です!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。