『SHINKAI』
金成陽三郎（作） 木田翔一（画） 集英社 ￥514+税
（2015年7月17日発売）

2014年11月28日に、完成25周年を迎えた実在の潜水調査船「しんかい」と、それに搭乗するパイロットたちの活躍を描いた海洋マンガ。

主人公の波多海拓（はやみ・たく）は、幼少時のとあるできごとをきっかけとして、深海への冒険を夢に見続けていた青年。
努力の末に、彼は第1話で副操縦士（コパイロット）として「しんかい」に搭乗することになるのだが、夢にまで見た深海は、理想どおりの美しい世界ではなかった。
深海は地球最後のフロンティアであると同時に、未知の恐怖に満ちた暗黒の世界でもあるのだ。

そんな深海で起きる数々のトラブル描写は必見！
第1話で描かれる、海底に根がかりした漁網の脅威や、深海で探しものをすることの困難さなど、海洋研究開発機構JAMSTECの取材協力をうたっているだけあり、そのリアリティには目を見張るものがある。

実際の探索に携わっているパイロットのインタビューも単行本に収録されていたりと、深海にちょっとでも興味がある人は必見の一作だ。

＜文・山田幸彦＞
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter：@gakuton