『新装版 ルナティック雑技団』第1巻
岡田あ～みん 集英社 ￥600+税
（2015年7月24日発売）

「りぼん」創刊60周年記念特別刊行の一環として、あの超名作ギャグマンガ『ルナティック雑伎団』が新装版にてリリース！　これまでの単行本には未収録だった作品が合計140ページも収録されるとあって、ファンはどんなに発売日を待ちかねたか……。

『お父さんは心配症』、『こいつら100％伝説』に続いて連載された本作終了後、1998年以降はぱたりと作品を発表しなくなった岡田あ～みん。
しかし、今も作家・作品へのラブコールは絶えることがなく、少女マンガ、ギャグマンガの領域でいかにセンセーショナルな存在だったかを思わずにいられない。

『ルナティック雑伎団』は、あ～みん作品のなかでもラブコメ要素の強いギャグマンガ。
とはいっても、いわゆるラブコメのパロディー表現も多く……ひとことで言えばやっぱりギャグマンガ！

その瞳を見るや老若男女が腰砕けになる、異様なまでのカリスマ性を持った天湖森夜（てんこ・もりや）。
その輝きゆえに人を寄せつけない彼は、“孤高の貴公子”と呼ばれる14歳だ。

ヒロイン・夢実は家庭の事情から、憧れの森夜の家に下宿することになり……かくしてバリバリ少女マンガ設定のドッキドキの日々が始まるかと思いきや!?　奇人変人大集合のあ～みんマンガで、そううまくいくはずはない！

なんといっても森夜に過剰な独占欲を示す母親“マダムゆり子”の存在感がキョーレツ。
夫の上司の娘である夢実にめちゃくちゃへりくだるかと思うと、夢実が森夜に近づこうものなら攻撃性丸出し、ときには蛇や生き霊的な何かやらに七変化する姿に笑いが止まらない。

夢実に想いを寄せる学園のアイドル・愛咲ルイもナイスキャラ。
天然のカリスマ・森夜とは対極で、こちらはサービス精神のかたまりだ。授業の合間を縫って学内の至るところでコンサート、休み時間にはファンの集い、お昼のDJと忙しいことはなはだしい。

しかし、今読み直してもまったく古びない笑い、怒濤の勢いには驚くばかり。
「復刊ドットコム」に多くのリクエストが寄せられた番外編、幻のシリアス読み切り「花のいたづら」も収録。

全3巻、迷わず一気買いをオススメしたい。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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