『三十路おとめとモテはたち』第1巻
甘詰留太 少年画報社 ¥585+税
(2015年7月27日発売)
「純真なエロ」という言葉は矛盾しているかもしれないが……甘詰留太の作品はあえてそう呼びたい素直なエロさに満ちている。
半自伝的マンガ『いちきゅーきゅーぺけ』第1巻も発売され、注目高まる甘詰留太の最新作はまるっきりタイプの違う姉妹のダブルヒロイン態勢だ!!
大学1年生の平田くんが所属する写真サークルは、マドンナ・夏姫のグラドル活動の事務所の様相だ。メンバーたちは夏姫を「姫」と呼び、撮影に写真レタッチに大忙し。
できあがった「作品」による収入を、夏姫は学費と生活費にあてている。華やかなルックスからは想像しがたいが、彼女は苦学生なのだ。
メンバーたちが夏姫に心酔し労を惜しまないのは、「セックス大好き」を公言する彼女のごほうびのおかげでも!? ただし、「童貞大好き」の彼女との関係は1回限りなのだけれど。
さて、いつかは自分もその恩恵にあずかれるとワクワクしていた平田くんに、ついに姫から呼び出しが!! しかし、彼女の頼みは「30歳にして処女の姉を口説いてほしい」というものだった……。
夏姫の姉・冬子は30歳の書店員。親を失った15歳のときから、年の離れた夏姫を支えてきた。派手な美人でスタイル抜群、奔放な妹の性生活に反発する一方で、「私は一生処女でいいの?」という疑問もある。
夏姫は、そんな姉との距離を感じつつも、“大好きなお姉ちゃん”のために一計を案じるのだ。
2人のヒロインと童貞くん……交錯する3人のホンネと欲望と愛情はどこに向かう!?
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」