日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!。
今回紹介するのは『ベイビー・メニー・クライ』
『ベイビー・メニー・クライ』
灼 東京漫画社 ¥657+税
(2015年8月25日発売)
BLアンソロジー「Cab」にて発表された短編集。
希(のぞみ)は、表面上はとんでもなく泣き虫な男の子。しかし本当は、目が合うとどうしても涙が出てしまう体質というだけなのだ。
高校に入学して1年と7カ月、それをずっと隠そうとがんばっていたのに、ついに後ろの席の男子・松崎にバレてしまった。
絶対からかわれると覚悟を決めた希。だが松崎の行動は、単にからかうにしてはあまりにも不自然で――。
3つの物語が収録されているが、表題作「ベイビー・メニー・クライ」はなんだか本当にかわいくて、くすっとしつつときめくストーリー。
また「はるのはなやさん」は優しくきめ細かい感情の動きが魅力的で、「僕らは空を探している」は読みこめば読みこむほどに奥深い大人の恋愛を描いている。
3作ともに続きがとても気になってしまうのは、細やかに描かれた物語世界と、ネームも間合いも絶妙な、マンガとしての描写に優れた作品だからなのだろう。
キャラクターの魅力も高く、個人的には特に表題作の攻めくん、松崎の本音がぜひとも知りたいところ。
いろいろ想像を働かせつつ、大事に読み返したい1冊だ。
(個人的には表紙が超ツボでした。眼鏡のブリッジをかじって外すというシチュエーションに希のこの表情! ちょっとずるいよ笑。)
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」