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10月26日は初めてタイムスリップが成功した日『T.Pぼん』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/10/26


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

10月26日は初めてタイムスリップに成功した日(映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』より)。本日読むべきマンガは……。


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『藤子・F・不二雄大全集 T・P(タイム・パトロール)ぼん』第1巻
藤子・F・不二雄 小学館 ¥1,700+税


1985年10月26日、この日は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で初めてタイムスリップに成功した日。

……って、つい先日「2015年10月21日は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で描かれた未来の日」として世間的にも大いに盛り上がったばかりなので、10月21日の間違いなんじゃないの? と思われるかもしれませんが、さにあらず。

映画第1作では「1985年10月26日午前1時18分」にドクが記録映像をスタート、そして愛犬のアインシュタインを「1分後の未来」へとデロリアンで送ることが描かれている(で、その直後にドクが襲撃され、マーティはワケのわからないうちに30年前の1955年へと送られてしまう)ので、初タイムスリップ自体は10月26日で間違いございません。

ちなみに1作目のラスト近くで、ドクが「キリがいいから」という理由で今度は30年後に行くわけですが、part2で描かれた未来がキッチリ30年後の2015年10月26日ではなく10月21日だったのは、おそらく未来で起こる事件を“歴史改変”するため、最初にドクが到着した未来から少し戻った日に行く必要があったためと思われる。
なので、劇中で具体的には描かれていないけれど、最初にドクが到着したのも2015年の今日なのかもしれませんよ?

まぁ、細かい話はさておき、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、結果的には劇中でけっこう大胆に歴史改変をやりまくっているわけだが、もちろん基本的には「歴史を変えてはいかん!」と何度も釘を刺す場面が登場している。
映画ではわりとざっくりした説明に省略されているが、小説版ではさらに詳しく「映画館の売り上げがコイン1枚違っただけで、もしかするとなくなるはずの映画館が存続して、そのせいで大統領になるはずの人物が劇場の火災に巻きこまれて死ぬかもしれない」と、ささいなことでタイムパラドックスが起こりえる危険性を長々と説明するくだりがあったりするのだ。

ところでこの理屈、おそらく日本人ならかなり多くの人がスッと理解できると思うのだが、それというのも、藤子・F・不二雄先生が『ドラえもん』などで、子供にもわかる平易さでタイムパラドックスを織りこんだエピソードを何度も描いてくれたおかげなんじゃないかな? とも思ったり。

そんな藤子・F・不二雄作品のなかでも、タイムパラドックスものの集大成とも言える名作が『T・Pぼん』。
不幸な事故に巻きこまれて亡くなった人を、歴史に影響を与えない範囲で救っていくT・P(タイムパトロール隊)の活躍を描く物語だが、それだけに小さな行いが歴史を変えるかもしれないという危険は、それこそ何度も作中で登場している。

さらに主人公の並平凡(なみひら・ぼん)が「歴史的事件に関わる」経緯も、まさに前述の小説版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の一節のような顛末なのである。

そしてこの『T・Pぼん』が最初に発表されたのは1978年。
1985年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』よりもかなり早い! もちろん、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と比べてこっちのほうがすごい!とか言うつもりはありませんが、日本にも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にさきがけて、こんなすばらしいマンガがあったということはぜひ知っておいていただきたく思います。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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