日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『Gのサムライ』
『Gのサムライ』
田中圭一 リイド社 ¥780+税
(2016年4月15日発売)
こりゃ“「このマンガがゲスい!」(なんかどっかで聞いたことあるなー)3年連続 第1位!”の看板に偽りナシ!
マンガの神様・手塚治虫のお下劣パロディマンガ『神罰』をはじめ、様々な大御所漫画家の画風をパロディしたお下劣ギャグでおなじみ。
田中圭一の最新単行本は、刑罰により若くして島流しにあった貴族・腹上院魔手麻呂(ふくじょういん・ましゅまろ)と武士・品場諸朝(しなば・もろとも)の2人が、童貞を捨てる日を夢見て奮闘する「島流し童貞劇」だ。
とにかく毎回、麻呂と諸朝の2人があの手この手で童貞喪失&限りなく玉門に近いオナニーをもくろむ様子が、おもしろすぎる!
食べ飽きたヤシの実を弄ぶうちに、これで○○を××すればと思いつくも、それを好物とする○○の舌で××されちゃったり、人間そっくりという○○のメスの玉門を狙うも、逆に○○のオスに××されちゃったり……。
無人島ならではの動物ネタ(横山まさみちのシンボル擬動物化の逆パロディ!?)が、最高にゲス&バカバカしくって、2人のアホさ加減とシリアスな劇画調の絵とのギャップがまたおかしくって、ゲラゲラと声に出して笑ってしまいつつも、男の夢とロマンと情熱は今も昔も変わらないのね……と妙に感心したり。
ネットで無料エロ動画が見放題だったり、おしゃれTENGAがセレクトショップで販売されるなど、性の供給過多が進む一方、性欲がない若者が増えているというが、この2人を見ればわかるように、むしろ制限されればされるほど、欲望や想像/創造力が高まるのが人間の常なわけで。
どこを開いても、もれなく白い液体がほとばしる、イカした(イカれた)想像/創造力に満ちみちた1冊。
蛇足ながら、この後に、著者が現在ネットで連載中の感動ドキュメンタリーマンガ『ペンと箸』、『うつヌケ』を読めば、ますます脱力&キツネに化かされたような気分が味わえてオススメです。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69