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『応天の門』第4巻 灰原薬 【日刊マンガガイド】

2015/11/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『応天の門』


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『応天の門』第4巻
灰原薬 新潮社 ¥580+税
(2015年10月9日発売)


平安時代を舞台にしたバディものかつ骨太なクライム・サスペンスとして人気を博している『応天の門』が、ついに4巻目に突入。
才気煥発だが引きこもりの少年・菅原道真と、女好きで世知にたけた在原業平が、今巻でもおおいに活躍している。

さて、前巻で様々なトラブルに巻きこまれ、自分は呪われているようだと言い出した業平だったが、今巻で道真の知恵に助けられ落着を見る。
その際には道真の聡明な許嫁、島田宣来子(しまだ・のぶきこ)もしっかり働いていたりと、道真・宣来子の幼いカップルの様子はなかなかにほほましい。

だが一転、宮中に目を向けると、権力争いの激しさは増すばかり。
藤原良房・基経の藤原北家に対抗するのは、伴善男を中心とした反藤原勢力の面々。
しかも道真は、伴善男の遠縁にあたる。
そうした浮き世のしがらみとは無縁でいたい道真だったが、彼もまたいやおうなしにそこに巻きこまれていく。

一方で都には、物の怪が夜行するとの噂が立ち始める。
検非違使である業平は、その真相を探るべく調べを開始するのだが――。

4巻に入ってストーリーはいっそうの広がりを見せ、道真は単に怪異を解きあかかす役目から、もっと政治的に踏みこんだ場所へと立ち位置を変えざるをえない状況になってきているようだ。
道真の少年らしい潔癖さを、世慣れた業平がどううまく取りなし、先導してくれるのかが見ものだ。

またこのマンガでは、存在感のある女性陣の活躍も見逃せないポイントのひとつ。
前述の宣来子を始め、菅原家に仕える女官の白梅も、かわいらしく賢く、魅力的な少女だ。
今巻では、道真・白梅の主従の絆も堪能できて、著者の人間関係の描き方の巧みさがうかがえる。

いろいろな読み方で楽しめる、懐の深い本作。続刊は来年春とのことだが、待ちきれない気分だ。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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