日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『そこテストにでます！』

『そこテストにでます！』第1巻
長月みそか 芳文社 ￥590+税
（2015年10月13日発売）

自分に好意を持っている女の子たちに囲まれた。これぞハーレム状態……本当に？
実際は、相手の気持ちわからなくて、怖いと思う。

眼鏡の少年・数馬（かずま）は、好きな女の子・かえでを追いかけるかたちで、高校受験に挑む。ところがかえでは合格、数馬は落ちてしまう。
失意のまま男子校にかようことになった数馬。ある日、塾講師の胡桃に出会い、なにげなく講師のアルバイトに誘われた。
バイトを引きうけた彼の目の前に現れた生徒は、中学校時代の同級生で活発なムードメーカーの椛（もみじ）だった。

自分と同い年の少女の先生になる。そんなドキドキするシチュエーションに加えて、ぐいぐいアプローチしてくるかえでの小学生の妹・いろはや、仲のよい後輩の茜など、塾にやってくる少女たちは、数馬に想いを寄せてくる。
小・中・高と色とりどりな少女たちに迫られ、同じ学校の男子生徒からは「いつからおまえそんなリア充になったんだ？」とつめ寄られるありさま。

しかし彼の状況は微妙だ。なんせ、かえでという心に決めた相手がいるのに、好きでもない女の子に囲まれても困惑するばかり。彼女たちの気持ちをきれいに返せるほど器用ではない。

たとえば、小学校時代から数馬のことを見つめていた後輩の茜。彼女は数馬のあるひと言がきっかけで、塾を休むようになってしまう。
自分に原因があると思った数馬は、茜にバイトのシフト表を持っていく。自分がいない時は、塾にやってくればいいと。
これを見て、いろはと椛は「全然わかってない！！」と絶叫。うん、女心、全然わかってない！　でもここで彼女の気持ちを理解するのは、実際には相当難しいですよ。

相手が年下だから、なんて侮れない。女の子の前で、いくらかっこつけようとしても空回り。かと思えば、すんなり仲良くなれることもある。
男子にとって、女の子はいつも、不思議でキラキラして、近くにいても、とても遠い。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」