日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『つる姫じゃ~っ!ベストセレクション』
『つる姫じゃ~っ! ベストセレクション』
土田よしこ 復刊ドットコム ¥1,850+税
(2015年10月24日発売)
少女マンガが大きな進化をとげた70年代……「週刊少女マーガレット」で『ベルサイユのばら』(池田理代子)や『エースをねらえ!』(山本鈴美香)と肩を並べ、爆発的な人気を博したギャグマンガ『つる姫じゃ~っ!』。
6年の長きにおよぶ連載と、単行本全11巻からのベストセレクション版が刊行された。
時代はおそらく江戸中期。ハゲマス城のひとり娘・つる姫は“かっぱハゲ”がトレードマーク。
ブスでセコくて不潔で下品で……気の向くまま、わがまま勝手なふるまいでハチャメチャな事件を巻き起こす!
だが、一方なぜか憎めないところもあったりして……ときどきホロリとくるいい話が差しこまれるのも「つる姫」の持ち味だ。
娘に厳しくあろうとするが、なかなか制御しきれない殿や、しょっちゅうつる姫にひどい目にあわされている家老など、姫を取り巻くキャラたちはみな心やさしくほのぼのムードもただよっている。
そのなかで群を抜いてキョーレツなのは、つる姫の世話役として登場する女中のイネ。
どっしりした体格も態度も貫禄たっぷり。少々のことには動じないマイペースぶりにはさすがのつる姫もたじたじ……この2人の丁々発止は、いつまででも読んでいたいおもしろさだ。
会話のテンポも抜群、全編声に出して読みたくなるくらい軽快でノリがいい。
若い世代に読み継がれてほしい名作の復活に、心から拍手を送りたい!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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