日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ノブナガン』
『ノブナガン』第6巻
久正人 泰文堂 ¥650+税
(2015年10月10日発売)
偉人の遺伝子から特殊能力を得た「E遺伝子(イージーン)ホルダー」と「進化侵略体」なる宇宙生物との死闘を描いた本作もついに完結。
……いや、正直なところ、ヒロインである小椋しおが前巻で落ちこむところまで落ちこんでいただけに、新刊のオビに「完結」の文字があったときには「えっ!? マジで?」と不安感しかなかったのだが、これがじつにみごとな幕引きとなっている。一瞬でも疑ってすみませんでした!
著者いわく「ちゃんとした最終回をはじめて描く」とのことなのだが、単に物語を「たたむ」というだけでなく、安堵からの衝撃、さらに余韻……と、ラストまで息をつかせず「たたみかける」終わらせ方なのはさすがのひと言。
まだまだこの世界の物語を読んでいたかったという名残惜しさももちろんあるのだが、掲載誌の休刊など、外的な要因で様々な困難に直面しながらの連載だっただけに、よくぞこんな美しい結末に導いてくれてありがとう! と、感謝をのべたいほどの大団円を迎えたことは素直に喜びたい。
内容についてヘタに触れるのは無粋というものだと思うので、小椋しおや浅尾さん、そしてアダムたちE遺伝子ホルダーの仲間たちが迎える結末は、読者の方々みなさんの目と心でご確認のほどを。
あと、2014年に放映されたアニメのほうでしか本作を知らない人には、「あの話、まだ途中で終わってますから!」と声を大にして伝えておきたい。
なんにしても完結した今、また1巻から読み返してみるのもいいんじゃないでしょうか。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。