365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月26日はボクシングデー。本日読むべきマンガは……。
『エマ』第1巻
森薫 KADOKAWA ¥620+税
12月26日はボクシングデーだ。
原則として26日、つまりクリスマスの翌日の平日が当てられる。(今年はたまたま土曜日のため、振替で28日になるとのこと)
とはいえ、拳闘のボクシングとはまったく関係ない。
アルファベットで綴ると「Boxing Day」、名前の由来には諸説あるが、この場合の「Box」は箱を意味する。
では、それはなんの箱なのか?
みんなが楽しむクリスマスでさえご主人さまのために働いた使用人たちに、翌日を休日として家族と過ごすことを許し、箱にギフトやボーナスを入れて渡したという説。
また別の説では、郵便配達人や使用人たちに、クリスマスのギフト(Christmas box)をプレゼントしたというものだ。
いずれにしても、いつもがんばって奉仕してくれている人たちをねぎらう祝日であることは間違いない。
この祝日を適応しているのは、おもに英国圏。
そう、19世紀、ヴィクトリア朝時代のイギリスで、執事やメイドなど、数々の家事使用人が活躍していたことをご存じの方も多いだろう。
ということで今日は、アニメにもなった人気作・英国メイド物語『エマ』をご紹介したい。
19世紀末、ロンドン。
以前はガヴァネス(家庭教師)だったケリー・ストウナーという女主人に仕えるメイド・エマ。
その誠実な働きぶりで、ケリーにはとても大事にされている。
ある日ケリーの家に、突然昔の教え子であるウィリアム・ジョーンズがやってくる。
彼は一目でエマに惹かれ、そしてエマもまた彼を好ましく思い始めていた。
だがエマとウィリアムの前には、産業革命の時代になったとはいえ、いまだ根強い階級社会のミゾが横たわっている――。
このマンガの魅力はやはり、当時のイギリスの文化や風俗が落ち着いた絵柄で表現され、その時代の雰囲気をあまさず伝えてくれていることだろう。
さらにエマは若くて美人で控えめな性格、しかも眼鏡で黒いロングのメイド服とくれば、それはもう完璧なヒロインだ。
途中、エマに言い寄るインドの大富豪が出てきたり、またウィリアムのほうにも彼を好いてくれる貴族のお嬢様が登場する。
2人は、はたして階級の差を乗り越えられるのか――それは、読んでのお楽しみということで。
主人であるケリーは、ボクシングデーにはきっと、エマにたっぷりとギフトを与えて喜んで休みを取らせただろう。
休みを与えられたエマが、その日どう過ごすのか。そんなことを想像するのも、ちょっと楽しい。
日本ではクリスマスが終わればお正月の準備と非常に慌ただしいが、世界にはこんな祝日もあるのだと、今日は少しゆったりした気持ちで過ごしてみるのはいかがだろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」