日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『地方は活性化するか否か』
『地方は活性化するか否か』
こばやしたけし 学研プラス ¥1,000+税
(2015年10月20日発売)
タイトルが仰々しいので「どうせ、できるからがんばりましょうね! ってなるんでしょ?」と思ってた。
読んでみたら、違った。
「やりっぱなしの行政 頼りっぱなしの民業 全然関心なしの市民 この三連コンボを目の当たりにしてからは……働いていても『虚無感』しか感じられなかった」
「そんな苦行をやっていったい何の意味があるっていうの? 誰も『活性化』なんて知ったこっちゃないんだよ? ……そんなのは……『自己満足』以外の何物でもないわよっ!」
女子高生キャラを使った、地域活性化問題の解説マンガ。
序盤では、事業を盛り上げるために必要な考え方を解説している。
たとえば地域活性化の必須要素と呼ばれる3つ。
「よそもの(客観性)」「きれもの(プロデュース)」「ばかもの(発想力)」
これに活力としての「わかもの」。
メイン3人のキャラクターをこれに当てはめ、活性化思考のバランスを表現している。
後半に行くにしたがい「できない」ことがどんどん説明される。
お金をかけてイベントを開き「カネでにぎわいをつくる」地方。
「にぎわいでカネをつくる」ようにしなければ、結局一時の話題で終わってしまう。
でも継続するお金がない。
開設されたものの、更新されない地方のホームページ。
「サイトを作る」のが目的になってしまい、終わってしまったパターンだ。
国からの交付金。地方行政は「にぎわい」を作るために事業をはじめる。呼ぶのは東京の業者。
お金は地方から東京に流れるだけで、しかも地域がやってないので継続性がない。
暗雲立ちこめる未来が描かれる。本当に希望はあるのか不安になる。
女子高生の雑談に置きかえることで、この重さを払拭しているが、それでもハード。
今どんな問題が起きているのかを知るのに適した一冊だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」