日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『まちカドまぞく』
『まちカドまぞく』第1巻
伊藤いづも 芳文社 ¥819+税
(2015年11月27日発売)
「まんがタイムきらら」レーベル発のアニメ化作品といえば、今年2015年に限っても『きんいろモザイク』や『ご注文はうさぎですか?』など、2期が制作されるほどにスマッシュヒットを飛ばしたタイトルがすぐに思い浮かぶだろう。
まだ放映時期は発表されていないとはいえ、「まんがタイムきららキャラット」で連載中の、「今日も一日がんばるぞい!」で知られる『NEW GAME!』もアニメ化が決定していたりと、その勢いは衰えることを知らない。
そんななか、「まんがタイムきららキャラット」連載の新作タイトルのなかで、もっともアニメ化が期待できると推したい作品が、第1巻が発売されたばかりの伊藤いづも『まちカドまぞく』である。
設定はシンプルだ。
ある日、とつぜん魔族として覚醒した15歳の吉田優子は、先祖のリリスから、魔法少女を倒すという使命を与えられる。
そうして出会った、かつて世界を救ったという魔法少女・千代田桃へと戦いを挑むが――優子ことシャドウミストレス優子(通称:シャミ子)はとんだポンコツ魔族だった!
とくに魔法が使えるわけでもなく、もとから身体能力が低いうえ、頭にツノが生えたぶん以前より体のバランスが取りづらくなるし、しっぽのせいで感情が読まれやすい。
根がとてもいい子なので、宿敵たる強大な力を持つ魔法少女にもちゃんと敬語を使うしすぐ素直に謝るし、一家の生活費が月4万円になる呪いによりいつもお腹をすかせているのでよく餌づけされる。
背も小さい。すぐ半泣きになる。
そんな同じ町内に住む魔族・優子(筆者の脳内CVは内田真礼さん)と魔法少女・桃(筆者の脳内CVは津田美波さん)のほほえましい日常を描いた『まちカドまぞく』。
世界観をめぐる伏線も張りめぐらされるなか、人気が爆発するより一足早くその魔術的な魅力にとらわれておきたい。
<文・高瀬司>
批評ZINE『Merca』(アニメルカ×マンガルカ×ジャズメルカ)主宰。アニメ/マンガ論を『ユリイカ』などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
TwitterID:@ill_critique
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