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1月4日はさらし首が廃止された日 『首斬り朝』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/01/04


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

1月4日はさらし首が廃止された日。本日読むべきマンガは……。


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『首斬り朝 愛蔵版』第1巻
小池一夫(作) 小島剛夕(画) 小池書院 ¥648+税


1879(明治12)年1月4日、太政官布告第1号によって明治政府は平安時代から実施されていた「さらし首(=梟首刑)」を廃止した。

江戸時代の庶民には磔、鋸挽、火罪、下手人、死罪、獄門という6種類の死刑が科せられており、さらし首はここでは「獄門」と呼ばれていた。おもに強盗殺人、主人の親類の殺害、地主や家主の殺害、偽のはかりやますの製造を行なった者がこの刑に処せられた。
ちなみに打ち首(=斬首)は前述の6種のうち下手人、死罪、獄門の3つで行われる刑罰で、斬首後に死体を試し斬りに使い、首は剣山よろしく立てた五寸釘にセット、周囲を粘土で固めたら獄門台の完成。野犬などにネコババされないよう不寝番がついて3日間の見せしめとなる。

そんな江戸の死刑執行人「公儀お様(ため)し役」の山田朝右衛門を主人公にすえた劇画が『首斬り朝』だ。

朝右衛門が処刑するのは武士ではなく(武士には切腹をはじめ尊厳死が認められていたため)、市井の町人たち。むろん、そこには様々な彼らなりのドラマが存在する。
朝右衛門はあくまでも彼らの最期の瞬間まで寄りそうかたちで、ひたすら寡黙にそれを見守る。

首を斬られる側、いわば犯罪者がいかにして犯罪に手を染めたのか? 朝右衛門の仕置はまさしく劇画タッチで凄惨かつ酸鼻をきわめるが、物語の無常感もあいまって崇高とさえ見えてくるから不思議だ。

米国ダークホースコミックス社では『Samurai Executioner』として英語版が出版されるなど、日本を代表するマンガとして高い評価を受けている本作は小池書院より愛蔵版が発売中。

今から34年も昔のマンガだが、おもしろいものはやはり、おもしろいのだ。



<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。『別冊宝島2394 仮面ライダー』「仮面ライダードライブ公式完全読本」もやってます。

単行本情報

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