日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『神様の横顔』
『神様の横顔』第1巻
朔ユキ蔵 講談社 ¥570+税
(2015年12月22日発売)
1935(昭和10)年、戦争の足音が近づく東京――。全寮制の千鳥芸術学校は「劇団青年千鳥」の首席スターを目指す少年たちが集う少数精鋭の演劇学校だ。
だれよりも激しい決意をもってその夢を追いかけているのが、理事長の甥である千鳥敬太郎。
寸暇を惜しんでトレーニングに励み、いかなるときも努力を怠らない彼は、周囲からも一目置かれる優等生だ。
そして、将来の首席スターにいちばん近い存在であることを誰もが疑わなかった。1級下の麦蒔摂(むぎまき・せつ)が入学してくるまでは……。
理事長いわく“神に選ばれし存在”である麦蒔摂は、いったいどんな資質を持っているのか。
日々の努力と知性によって自分を磨き上げてきた敬太郎と、摂にはどんな違いがあるというのか。
摂と同室になった敬太郎は、ひたすらに彼を観察する。敬太郎はただ公平な目線で彼を追い、よき先輩としてフォローもする。
そうした敬太郎の抑制のきいたふるまいは、むしろヒリヒリするような熱をもって心に迫るのだ。
天才といわれるわりにはいささか不安定、じつは大きな秘密を抱えている摂。
摂と対峙しながら、スターとは何かを考え続ける敬太郎。
それぞれに思い悩みながら、芸術の道を突き進む2人のドラマはまだ始まったばかりだ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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