日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『新米姉妹のふたりごはん』
『新米姉妹のふたりごはん』第1巻
柊ゆたか KADOKAWA ¥570+税
(2015年12月18日発売)
父が再婚し、突然妹(といっても同い年)ができた少女・サチ。
両親は海外に出てしまい、知らない子と2人暮らし。不安。
ある日、生ハムの原木が届いた。すると妹のあやりの目はらんらんと輝く。
あやりは単に、感情表現が苦手なだけ。サチと仲よくしたいと願う、料理好きな女の子だった。
2人は料理を通じて、姉妹仲を深め始める。
このマンガがほかの料理マンガと一線を画するのは、調理がちょっとたいへん、ということ。
たとえば生ハム。薄く切られたものを買うのが一般的。これが原木(塊)となると、見たことない人のほうが多いだろう。少なくともスーパーにはない。
ラクレットチーズ。丸いチーズを切って表面を溶かし、パンや食材にかけて食べるもの。両手サイズの大きな丸いチーズなんてまず売ってない。
テレビのなかで見るような、日常的ではない食材。ちょっとだけ手を伸ばすことで、料理そのものを「がんばって楽しむ」マンガだ。
生ハムの原木は、インターネット通販で1万から2万くらいで手に入るようになった。絶対手が出ないという額ではない。
ラクレットチーズは小さくスライスされたものが販売されており、3千円くらいの小型ラクレットオーブンを使えば十二分に楽しめる。
ほかにも、ソーセージメーカーのような、ふだん使わない器具がバンバン出てくる。これも、ネットで、まあまあのお値段で買える。
決して「お手軽」ではない。
でも、ちょっとだけ背伸びをして、ふだんと違うおいしいものを作ることができるとなれば、その喜びはプライスレス。
新米な姉妹2人も、ちょっとだけがんばってみることで、感情が出しやすくなることもある。
しだいに2人で工夫をし、共同作業することで、一つひとつが思い出として重なっていく。
解説もついており、実践できるので、背伸び料理入門としてもオススメです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」