日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『味噌汁でカンパイ！』

『味噌汁でカンパイ！』第1巻
笹乃さい 小学館 ￥522+税
（2016年1月12日発売）

父子家庭で育った中学生の善一郎の朝ごはんは、コンビニのおにぎりとインスタントの味噌汁。
幼なじみの八重は、そんな彼に毎朝、味噌汁の朝ごはんをつくることにするが――。

「味噌汁×幼なじみ同士のほんわかラブストーリー」は、王道だけに親和性が高く、サラッと読めるものの実直であたたかな絵柄もあいまって、しみじみ味わい深い。

「味噌汁」縛りだけに、ネタ的な広がりはないが、出汁の種類＆とり方、味噌の種類、パンにもあう洋風味噌汁……など、掘りさげれば意外に深い世界で、こればこるほどにハマりそう。

ドラマ版も好評の『いつかティファニーで朝食を』しかり、だれかと朝ごはんを食べるっていいなあ……と、ほっこり。

もはや飽和状態で、何が出てきてもおかしくないグルメマンガ、料理マンガシーンだが、これはフツーゆえに昨今では意外と味わえない、まさに家庭の味噌汁（おふくろの味！）みたいなマンガだ。

＜文・井口啓子＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69